コラム
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シニア犬に多い心臓病|僧帽弁閉鎖不全症の初期症状と見逃さないポイント
2026.06.25犬
「最近、愛犬が咳をすることが増えた気がする」「散歩の途中で立ち止まるようになった」といった変化に気づき、不安を感じている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
シニア期の犬では、年齢による体力の変化だけでなく、心臓病が関係している場合があります。その代表的な病気のひとつが「僧帽弁閉鎖不全症」です。
犬の僧帽弁閉鎖不全症は、特に小型犬や高齢の犬で多く見られる病気です。初期には大きな変化が出にくいため、「年のせいかもしれない」と様子を見ているうちに進行してしまうケースも少なくありません。
そこで今回は、犬の僧帽弁閉鎖不全症について、初期症状や受診の目安、治療方法などを解説します。

■目次
1.犬の僧帽弁閉鎖不全症とは?
2.初期症状|「咳」「疲れやすい」は見逃さないで
3.症状が進行するとどうなる?
4.受診の目安|どのタイミングで相談すべき?
5.診断・治療方法
6.日常でできることと当院のサポート|長く穏やかに過ごすために
7.まとめ
犬の僧帽弁閉鎖不全症とは?
僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓の中にある「僧帽弁」という弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流する病気です。
本来、心臓の弁には血液を一定方向へ流す役割があります。しかし、加齢などによって弁が変形すると、血液が逆流し、心臓へ少しずつ負担がかかるようになります。
この病気は、犬の心臓病の中でも特に多く見られます。とくに、以下のような小型犬で発症しやすい傾向があります。
・チワワ
・トイ・プードル
・マルチーズ
・ポメラニアン
・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
また、7歳頃から増え始めるため、シニア期に入ると注意したい病気のひとつです。
なお、僧帽弁閉鎖不全症は、ゆっくり進行することが特徴です。そのため、初期には症状が目立ちにくく、「なんとなく元気がない」「少し咳が増えた」程度に見える場合もあります。
しかし、症状が軽く見えても、病気が進行しているケースもあるため、日常の小さな変化を見逃さないことが大切です。
初期症状|「咳」「疲れやすい」は見逃さないで
犬の僧帽弁閉鎖不全症でよく見られる初期症状のひとつが「咳」です。
特に、夜間や朝方、興奮したあと、安静にしているときなどに、乾いた咳が表れることがあります。
ただし、咳は気管や喉のトラブルでも見られるため、「風邪かな」「年齢によるものかもしれない」と考えてしまう飼い主様も少なくありません。
また、ほかにも以下のような変化が見られる場合もあります。
・以前より散歩を嫌がる
・すぐに疲れてしまう
・寝ている時間が増えた
・遊びたがらなくなった
・呼吸が少し速く感じる
・呼吸が浅く見える
これらの症状は一見すると元気そうに見えても、体の中では心臓へ負担がかかっている場合があります。
そのため、「まだ大丈夫そう」と自己判断せず、普段との違いに気づいてあげることが重要です。
特にシニア犬では、加齢による変化と思い込みやすいため、咳や呼吸の様子を日頃から観察しておくと安心につながります。
症状が進行するとどうなる?
僧帽弁閉鎖不全症が進行すると、心臓への負担がさらに大きくなり、症状も強く表れるようになります。
最初は軽い咳だけでも、徐々に咳の回数が増えたり、呼吸が苦しそうになったりすることがあります。
さらに進行すると、以下のような変化が見られる場合もあります。
・食欲が低下する
・元気がなくなる
・散歩を嫌がる
・横になるのを嫌がる
・呼吸が速くなる
また、重症化すると「肺水腫」という状態になることがあります。
肺水腫とは、肺に水がたまってしまう状態です。呼吸が苦しくなり、横になれなかったり、落ち着きがなくなったりする場合があります。
このように呼吸の異常は、犬にとって大きな負担につながります。そのため、「様子を見れば落ち着くかもしれない」と長期間様子見を続けることで、状態が悪化してしまう可能性もあります。
なお、咳があるからといって、必ず重症化するわけではありません。しかし、早い段階で動物病院を受診することで、今後の管理につなげやすくなります。
受診の目安|どのタイミングで相談すべき?
愛犬に以下のような様子が見られる場合は、動物病院へ相談することが大切です。
・咳が数日以上続いている
・以前より咳の回数が増えた
・安静時でも呼吸が速い
・呼吸が浅く苦しそうに見える
・散歩の途中で座り込む
・疲れやすくなった
・食欲や元気が低下している
特に、シニア犬でこうした変化が見られる場合には、早めの相談が安心につながります。
また、呼吸が苦しそうな様子や、口を開けて呼吸している様子が見られる場合は、早急な対応が必要になることもあります。
このような症状は「病院へ行くほどではないかもしれない」と迷うこともあるかもしれません。しかし、検査によって現在の状態を把握しておくことで、今後の変化にも気づきやすくなります。
そのため、不安な症状が続く場合には、無理に様子見を続けず、まずは獣医師に相談することが大切です。
診断・治療方法
犬の僧帽弁閉鎖不全症では、複数の検査を組み合わせながら状態を確認していきます。
まず、聴診によって心雑音の有無を確認します。そのうえで、必要に応じてレントゲン検査や心エコー検査などを行い、心臓の大きさや血液の逆流の程度を詳しく評価します。特に心エコー検査は、心臓の動きや弁の状態を確認するうえで重要な検査です。
このような検査結果を踏まえながら、現在どの程度病気が進行しているのかを判断していきます。
治療方法は、症状の強さや進行度によって異なります。内服治療によって心臓への負担軽減を目指したり、呼吸の状態を安定させたりしながら、日常生活を穏やかに過ごせるよう管理していくケースが多く見られます。
なお、「手術が必要なのか」「お薬だけで管理できるのか」は、個体差があるため、一律に判断できるものではありません。現在の状態や年齢、生活環境なども踏まえながら、その犬に合った治療方針を検討していきます。
岡山県岡山市の永原動物病院では、インフォームドコンセントを大切にしながら、飼い主様と一緒に治療方針を考えることを重視しています。検査結果をもとに現在の状態をわかりやすくご説明し、今後の治療や日常生活で気をつけたい点についても、飼い主様と相談しながら進めてまいります。
日常でできることと当院のサポート|長く穏やかに過ごすために
僧帽弁閉鎖不全症は、早めに気づき、状態に合わせた管理を行うことで、生活の質を保ちながら過ごしやすくなる病気です。
そのためには、日頃から愛犬の様子をよく観察し、以下のような小さな変化に気づいてあげることが大切です。
・咳の回数が増えた
・以前より疲れやすそうに見える
・散歩の途中で立ち止まるようになった
・呼吸が少し速く感じる
このような変化は、毎日一緒に過ごしている飼い主様だからこそ気づけるサインでもあります。
また、シニア期の犬では、半年に1回を目安に健康診断を受けることも重要です。僧帽弁閉鎖不全症は、初期には大きな症状が表れにくいため、「まだ元気そうに見える」という段階で心雑音や心臓の変化が見つかる場合もあります。
さらに、定期的に状態を確認しておくことで、以前との変化を比較しやすくなり、早めの対応につながることもあります。
なお、体重管理を行ったり、生活環境を見直したりすることも、心臓への負担軽減につながる場合があります。無理のない運動量や落ち着いて過ごせる環境づくりも、日常管理のひとつです。
岡山県岡山市の永原動物病院では、予防医療や健康診断を通じて、病気の早期発見をサポートしています。
また、ホームドクターとして、「少し気になる」「受診すべきか迷っている」といった段階からご相談いただける環境づくりを大切にしています。愛犬の健康について気になる変化がありましたら、お気軽にご相談ください。
まとめ
咳や疲れやすさは、年齢による変化だけでなく、僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病が関係している場合があります。
特にシニア犬では、日常の小さな変化が病気のサインとして表れていることも少なくありません。
僧帽弁閉鎖不全症は、早期に気づき、適切な管理につなげることで、生活の質を保ちながら過ごしやすくなる病気です。
そのため、「少し気になる」という段階で状態を確認することが大切です。
なお、当院では飼い主様との信頼関係を大切にしながら、愛犬の状態や今後の治療方針について丁寧にご説明しています。小さな不安や気になる症状がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
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この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。