犬や猫の歯茎が白い…|それ、貧血と感染症のサインかもしれません

2026.07.02犬・猫

最近、愛犬や愛猫の元気がないと感じたことはありませんか?「いつもは楽しそうに歩いていた散歩を嫌がるようになった」「寝てばかりであまり動かない」「ごはんの食いつきが悪くなった」。こうした日常のちょっとした変化に、不安を抱いた飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。

「年齢のせいかもしれない」「もう少し様子を見よう」と考えて受診を先延ばしにしてしまいがちですが、そうした不調の裏に「貧血」という重大なサインが隠れていることがあります。貧血は放置してよい状態ではなく、原因によっては早急な治療が必要となるケースもあるため、早めに異変に気づき、動物病院を受診することが大切です。

そこで今回は犬や猫の貧血について、飼い主様が気づけるサインや原因、見逃してはいけない感染症、血液検査の重要性などをご紹介します。

■目次
1.犬や猫の「貧血」とは?
2.飼い主様が気づける貧血のサイン|自宅でのチェックポイント
3.犬や猫が貧血になる原因
4.見逃してはいけない感染症|バベシア症と貧血の深い関係
5.貧血が疑われたら|血液検査でわかること・治療の考え方
6.まとめ

犬や猫の「貧血」とは?

貧血と聞くと「鉄分が不足している状態」を想像される飼い主様が多いかもしれません。しかし、実際には貧血は病名ではなく、赤血球の数や働きが低下している“状態”を指します。

赤血球には、体のすみずみに酸素を運ぶという重要な役割があります。この赤血球が減少すると、体内の酸素供給が不足し、臓器や筋肉の働きにも支障が出てしまいます

その結果、疲れやすくなったり、動きが鈍くなったりといった変化が現れるのです。一見すると軽度の体調不良に見えても、体の中では心臓が負担を背負って頑張っていたり、内臓に影響が出ていたりすることもあります。

そのため、犬や猫に見られる「少し元気がない」といった変化を軽く捉えず、貧血の可能性を含めてしっかりと確認することが必要です。

飼い主様が気づける貧血のサイン|自宅でのチェックポイント

犬や猫の貧血は、突然目に見える症状として現れるわけではありません。だからこそ、飼い主様が日常生活の中で見落としがちなサインに注意することが大切です。

以下のような変化が見られた場合は、貧血の可能性を考える必要があります。

・以前よりも活発に動かなくなった
・少し運動しただけで疲れてしまう
・階段の昇り降りを嫌がる
・歯ぐきや舌の色が薄く、白っぽく見える
・呼吸が浅く速い
・抱き上げたときに力が入っていないように感じる

これらのサインは、「なんとなく元気がない」と感じる程度のものであっても、体の中で深刻な異常が進行している場合があります。特に歯ぐきの色は、貧血の状態を判断する上でひとつの目安になります。白っぽく見えるようであれば、早めに動物病院を受診しましょう。

犬や猫が貧血になる原因

貧血は以下のようにさまざまな原因があり、そのすべてが鉄分不足によるものではありません。

・外傷による出血、消化管からの出血
・免疫異常によって赤血球が自ら壊されてしまう
・肝臓や腎臓などの内臓疾患
・骨髄などがうまく機能せず、赤血球を十分に作れなくなる

そして、見逃してはならないのが感染症による貧血です。とくに注意が必要なのが、マダニを媒介とする「バベシア症」という感染症です。後ほどご紹介しますが、これは命に関わる重篤な疾患です。

このように、貧血の背景には多様な病気が隠れていることがあるため、自己判断で様子を見たり、市販のサプリメントなどで対応したりすることは危険です。早期に正しい診断を受け、原因に合った適切な治療を受けましょう。

見逃してはいけない感染症|バベシア症と貧血の深い関係

犬の貧血の原因として、特に警戒すべき感染症が前述したとおり「バベシア症」です。

バベシア症は、マダニに刺されることで体内に病原体が入り込み、赤血球の中に寄生して破壊していく病気です。赤血球が壊されると体は急激な酸素不足に陥り、結果として重度の貧血を引き起こします。

初期症状としては主に以下が見られます。

・少し元気がない
・ごはんの食いつきが悪くなった
・遊びたがらなくなった

しかし、バベシア症は進行が早く、赤血球が大量に壊されることで急激に容体が悪化し、命を落とすこともある非常に危険な感染症です。そのため、少しの異変でも早めに検査を受けることが大切です。

ノミ・マダニ予防についてより詳しく知りたい方はこちら

貧血が疑われたら|血液検査でわかること・治療の考え方

貧血が疑われる場合、血液検査によって赤血球の数や状態、貧血の程度を確認することができます。さらに、検査結果から出血性なのか、赤血球が壊されているのかといった原因を探ることが可能です。

治療は、原因となっている病気への対応が最も重要になります。出血が原因であれば止血や基礎疾患の治療を行い、免疫が関与している場合には免疫を抑える治療を検討します。また、バベシア症が確認された場合には駆除薬を用いた治療が必要です。貧血の程度が重い場合には、輸血が選択されることもあります。

なお、当院では検査結果をもとに現在の状態を丁寧にご説明し、治療の選択肢や見通しについて飼い主様と共有しながら進めていきます。

犬や猫の血液検査についてより詳しく知りたい方はこちら

まとめ

犬や猫の貧血は単なる体調不良ではなく、体が発している重大なサインであることを忘れてはいけません。その原因には、内臓疾患や免疫の異常に加え、バベシア症のような命に関わる感染症が潜んでいる可能性があります。

特にバベシア症は、マダニによって媒介されるため、予防のためにはノミ・マダニ対策の継続的な実施(予防薬・駆除薬の使用)が非常に重要です。外出の機会が少ない犬や、室内飼いの猫であっても、完全に感染リスクをゼロにすることはできません。

「歯ぐきの色が白っぽい」「元気がない」「ごはんを残す」そうした些細な変化を見逃さず、早めの血液検査を受けることで、大きな病気を未然に防ぐことができます。

なお、当院では貧血の診断から治療、そして予防のサポートまで、飼い主様と一緒に大切な家族の健康を守る体制を整えております。少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
永原動物病院
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この記事を書いた人
永原 未悠(ながはら みゆ)
  • 永原動物病院 院長
  • 永原 未悠(ながはら みゆ)

飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。

岡山市南区の動物病院 永原動物病院 Nagahara Animal Hospital
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