コラム
COLUMN
シニア期の犬と猫の健康管理|年間を通じたケアと健康診断のポイント
2026.09.09犬・猫
「最近、寝ている時間が長くなった気がする」
「以前より散歩に行きたがらなくなった」
愛犬や愛猫が年齢を重ねると、このような変化が気になり始める飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
シニア期の犬や猫では、見た目には元気そうでも、体の中で少しずつ変化が進んでいる場合があります。また、暑さや寒さなど季節による影響も受けやすくなるため、1年を通じて体調を見守り、その時期に合わせた健康管理を続けることが大切です。
そこで今回は、シニア期の犬と猫について、年間を通じた健康管理のポイントやご家庭で確認したい変化、定期的な健康診断の重要性を解説します。

■目次
1.シニア期は「元気そう」に見えても体が変化していることも
2.春・夏・秋・冬|年間を通じたシニア犬・シニア猫の健康管理
3.日常生活で確認したいシニア期の変化
4.シニア期は生活環境や食事も定期的に見直しましょう
5.シニア期こそ定期的な健康診断を
6.秋から冬は健康状態を振り返るタイミングに
7.まとめ
シニア期は「元気そう」に見えても体が変化していることも
犬や猫は年齢を重ねるにつれて、筋肉量や代謝、内臓の働きなどに少しずつ変化が表れます。
しかし、こうした変化がすぐに目立った症状として表れるとは限りません。
例えば、以前より寝る時間が増えた、散歩の距離が短くなった、高い場所に上らなくなったといった変化も「年を取ったから」と見過ごされることがあります。
一方で、その背景に関節の痛みや心臓病、腎臓病などが隠れている場合もあります。そのため「シニアだから仕方ない」と決めつけず、以前との違いに目を向けることが重要です。
犬や猫の年齢に応じて確認したいポイントについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
春・夏・秋・冬|年間を通じたシニア犬・シニア猫の健康管理
シニア期の健康管理では、季節ごとに起こりやすい変化にも目を向けましょう。
<春の場合>
気温が上がり始め、予防を見直す時期です。フィラリアやノミ・マダニなどの予防とあわせて、健康状態を確認しておくとよいでしょう。
<夏の場合>
暑さによって食欲や活動量が低下しやすくなります。シニア期では体温調節がうまくできない場合もあるため、室温管理や水分摂取量に注意し、食欲低下や元気の低下が続く場合は早めにご相談ください。
<秋の場合>
暑さが落ち着くため、夏を越したあとの体調を確認したい時期です。体重が減っていないか、食欲や飲水量に変化がないか、以前と同じように動けているかなどを振り返ってみましょう。
<冬の場合>
寒さによって活動量が減ったり、関節の痛みなどが目立ったりすることがあります。暖かく過ごせる環境を整えながら、無理のない範囲で体を動かすことも大切です。
このように、1年を通じて同じケアを続けるのではなく、季節とその子の状態に合わせて健康管理を調整していきましょう。
日常生活で確認したいシニア期の変化
病気の早期発見には、毎日一緒に過ごしている飼い主様だからこそ気づける変化も大切な手がかりになります。
特にシニア期に入ったら、次のようなポイントを普段から確認してみてください。
・食事量や食べ方が変わっていないか
・水を飲む量や尿の量が増えていないか
・体重が急に増減していないか
・咳や呼吸の変化がないか
・歩き方や立ち上がり方に変化がないか
・夜鳴きや徘徊、トイレの失敗などが増えていないか
例えば、水を飲む量や尿量の変化は腎臓病など、咳や運動を嫌がる様子は心臓病などでみられる場合があります。
また、夜鳴きや昼夜逆転などの行動変化には、認知機能の低下が関係している可能性もあります。
それぞれの病気や変化について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
犬と猫の腎臓病についてより詳しく知りたい方はこちら
シニア犬に多い心臓病についてより詳しく知りたい方はこちら
シニア期の犬と猫の行動変化についてより詳しく知りたい方はこちら
シニア期は生活環境や食事も定期的に見直しましょう
シニア期には、病気のチェックだけでなく、毎日の暮らしをその子の体に合わせていくことも健康管理のひとつです。
例えば、筋力や関節の状態が変化してきたら、滑りやすい床にマットを敷いたり、段差を減らしたりする方法があります。
また、年齢とともに必要なエネルギー量や栄養バランスが変わるため、体重や持病に応じて食事を見直すこともあります。ただし、シニア用のフードがすべての犬や猫に適しているわけではありません。
当院では食事管理についてのご相談にも対応しております。「今の食事を続けてよいのかな」と迷ったときもお気軽にご相談ください。
また、介助が必要になるほど体の変化が進んだ場合には、生活環境を更に調整する必要があります。
シニア期こそ定期的な健康診断を
ご家庭で毎日様子を確認していても、体の中で起きている変化まですべて見つけることは困難です。
そのため、シニア期の犬や猫では、症状が表れてから受診するだけでなく、元気なうちから定期的に健康診断を受けることが大切です。
健康診断では、身体検査に加えて、その子の状態に応じて血液検査や尿検査、画像検査などを検討します。
また、定期的に検査を受けていると、過去の結果と比較できます。基準値の範囲内であっても、その子自身の数値が以前からどのように変化しているのかを確認できるため、小さな変化に気づく手がかりになります。
秋から冬は健康状態を振り返るタイミングに
春はフィラリア予防などで動物病院を受診する機会が多い一方、秋から冬になると受診のきっかけが少なくなる飼い主様もいらっしゃいます。
しかし、シニア期では半年ほどの間に体調が変化することがあります。
そのため、当院ではシニア期の犬や猫には、半年に1回を目安とした健康診断をおすすめしています。春に健康状態を確認した場合は、秋から冬にもう一度健康診断を受けることで、半年間の変化を確認しやすくなります。
特に「最近水をよく飲む」「散歩のペースが遅くなった」「寝ている時間が増えた」などの変化があれば、年齢のせいと判断せず、一度ご相談ください。
健康診断は病気を探すだけではなく、今の状態を記録し、これからの健康管理を考える機会でもあります。
まとめ
シニア期の犬や猫は、見た目には元気でも、体の中で少しずつ変化が進んでいる場合があります。
毎日の食欲や体重、飲水量、歩き方、行動などを確認するとともに、季節に合わせて食事や運動、生活環境を見直していきましょう。
そして、健康診断を定期的に受け、過去の状態と比較しながら変化を追っていくことも大切です。特に秋から冬は、夏を越したあとの体調を振り返り、春からの変化を確認する機会として活用できます。
当院では、飼い主様との対話を大切にしながら、犬や猫の年齢や体調、生活環境に合わせた健康管理をご提案しています。「病気かどうかわからないけれど、少し気になる」という段階でも構いません。シニア期の健康診断や日々のケアについて気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。