コラム
COLUMN
犬や猫に血尿がみられたら?考えられる病気と受診の目安
2026.09.09犬・猫
「愛犬のおしっこが赤っぽい」
「猫のトイレに血のようなものがついている」
「何度もトイレに行くのに、おしっこが少ししか出ていない」
このような変化に気づくと、すぐに受診すべきか迷う飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
血尿は、膀胱炎や尿路結石など、尿をつくって体外へ排出するまでの「尿路」に異常が生じているサインのひとつです。なかでも、何度も排尿姿勢をとるのに尿がほとんど出ない場合は、尿道が詰まる「尿道閉塞」が起きている可能性があり、早急な対応が必要です。
今回は、犬や猫に血尿がみられるときに考えられる主な病気や、動物病院を受診する目安について解説します。

■目次
1.血尿とは?
2.犬や猫の血尿で考えられる主な病気
3.血尿がみられたときの受診の目安
4.診察では何を確認する?
5.血尿の原因を調べる検査と治療
6.まとめ
血尿とは?
血尿とは、尿に血液が混じった状態です。鮮やかな赤色になるとは限らず、薄いピンク色や茶色っぽく見える場合もあります。
一方、見た目では普段と変わらない尿でも、尿検査をすると血液の成分が確認されるケースもあります。そのため、尿の色だけで異常の有無を判断するのは難しい場合があります。
血尿とともに、次のような変化が表れていないか確認しましょう。
・何度もトイレに行く
・1回のおしっこの量が少ない
・排尿時につらそうな様子をみせる
・トイレ以外の場所で排尿する
・陰部を頻繁になめる
・尿が出にくい、ほとんど出ない
こうした症状がある場合は、膀胱や尿道などに異常が生じている可能性があります。
犬や猫の血尿で考えられる主な病気
血尿の原因はひとつではありません。ここでは、代表的な病気をご紹介します。
<膀胱炎>
膀胱炎は、膀胱の粘膜に炎症が起こる病気です。血尿のほか、頻繁にトイレへ行く、少量ずつ排尿する、排尿時に痛そうな様子をみせるなどの症状が表れる場合があります。
犬では細菌感染が原因となるケースがある一方、猫では明確な原因を特定できない「特発性膀胱炎」もよくみられます。猫の特発性膀胱炎には、環境の変化などによるストレスが関係していると考えられています。
<尿路結石>
尿路結石は、尿に含まれるミネラルなどが結晶化し、腎臓や膀胱、尿道などに結石ができる病気です。
結石によって尿路の粘膜が傷つくと、血尿が表れる場合があります。さらに、頻尿や排尿時の痛みなどがみられるケースもあります。
結石にはいくつかの種類があり、種類によって治療方法や食事管理が異なります。そのため、検査によって状態を確認したうえで、その犬や猫に合わせた対応を検討します。
<尿道閉塞>
尿道閉塞とは、結石や結晶、炎症によって生じた物質などが尿道に詰まり、尿を排出できなくなる状態です。特にオス猫は尿道が細いため、閉塞が起こりやすい傾向があります。
何度もトイレに入るのに尿が出ない、数滴しか出ないといった場合は注意が必要です。
尿を排出できない状態が続くと、体内の老廃物や電解質のバランスに影響し、全身状態が悪化する可能性があります。「血尿は出ているから尿も出ているだろう」と判断せず、実際にどの程度排尿できているかを確認することが重要です。
<腫瘍>
膀胱や尿道などにできた腫瘍によって、血尿がみられる場合もあります。
腫瘍の種類や発生した場所によって症状は異なりますが、頻尿や排尿しづらそうな様子などが表れるケースがあります。血尿が繰り返される場合や治療をしても改善が乏しい場合には、詳しい検査が必要になることがあります。
血尿がみられたときの受診の目安
犬や猫に血尿がみられた場合は、色や量だけで自己判断せず、動物病院を受診してください。
特に、何度も排尿姿勢をとるのに尿が出ない、または数滴しか出ない場合は早めの受診が必要です。尿道閉塞が起きている可能性があり、状態によっては緊急の処置が必要になります。
さらに、血尿とともに次のような症状がみられる場合も注意しましょう。
・元気や食欲が低下している
・嘔吐している
・排尿時につらそうにしている
・お腹を触られるのを嫌がる
・ぐったりしている
血尿だけでは緊急性を判断しにくいため「尿がきちんと出ているか」「普段と比べて回数や量が変わっていないか」まで確認することが大切です。
診察では何を確認する?
血尿の診察では、現在の症状だけでなく、普段の生活について詳しく確認することも診断の手がかりになります。
当院では、普段どのような食事を与えているかを詳しく伺います。フードの種類や価格帯、ドライ・ウェットなどの形状、飲水量などを確認し、普段の食生活を把握したうえで診療の参考にします。
食事は尿の性質や結石形成と関係する要素のひとつですが、結石の原因は食事だけではありません。体質や飲水量、尿路感染など複数の要因が関係するため、食事内容を含めて総合的に確認する必要があります。
さらに、排尿の様子や回数、過去に結石ができた経験があるか、尿道が詰まった経験があるかなども確認します。過去に同じような症状があれば、そのときの状況やきっかけも重要な情報です。
特に猫では、生活環境の変化などによるストレスが膀胱炎に関係する場合があります。そのため、引っ越しや家族構成の変化、新しい動物を迎えたなど、症状が表れる前に環境の変化がなかったかも伺います。
このように、血尿の診察では尿の状態だけを見るのではなく、食事や飲水、排尿の様子、既往歴、生活環境などを丁寧に確認しながら原因を探っていきます。
血尿の原因を調べる検査と治療
血尿がみられる場合は、問診や身体検査に加えて、尿検査を行うことがあります。尿検査では血液の混入だけでなく、尿の濃さやpH、結晶、細菌などを確認します。
必要に応じて、レントゲン検査や超音波検査などの画像検査を行い、結石の有無や膀胱の状態などを調べます。
治療方法は原因によって異なります。例えば、細菌感染が確認された場合には状態に応じた治療を行い、尿路結石では結石の種類や位置、大きさなどを踏まえて治療方針を検討します。食事療法が選択肢となるケースもあります。
尿道閉塞が起きている場合には、尿の流れを確保するための処置が必要になることがあります。
そのため、血尿がみられたからといって一律に同じ治療を行うのではなく、原因やそれぞれの状態に合わせて治療方針を考えることが重要です。
まとめ
犬や猫の血尿は、膀胱炎や尿路結石、尿道閉塞、腫瘍など、さまざまな病気によって表れる症状です。尿が赤いかどうかだけでなく、排尿回数や1回の尿量、排尿時の様子などにも目を向けてください。
特に、何度もトイレに行くにもかかわらず尿がほとんど出ていない場合は、尿道閉塞の可能性があります。様子を見続けず、早めに動物病院へご相談ください。
受診時には、普段の食事内容や飲水量、排尿回数、過去の結石や尿道閉塞の有無などを伝えていただくと、原因を探る手がかりになります。
当院では、血尿そのものだけでなく、普段の食事や飲水量、おしっこの出方、これまでの病歴や生活環境についても飼い主様から詳しく伺い、犬や猫の状態に応じた検査や治療方針をご提案しています。気になる尿の変化がみられた際は、お早めにご相談ください。
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岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
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この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。