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愛猫の水飲みが増えた?|多飲多尿の原因と病気の可能性
2024.12.25猫
愛猫が急に水をたくさん飲むようになったり、尿の量が増えたりしたら、何かの病気なのではないかと心配になりますよね。多飲多尿は腎臓の病気やホルモンの病気など、さまざまな原因から起こります。しかし、特に他に体調に変化が見られなければ、見過ごされてしまうケースも少なくありません。
今回は猫の多飲多尿について、原因や早期発見のためのチェックポイントなどを解説します。
■目次
1.気づきのポイント
2.主な原因疾患
3.早期発見のために
4.まとめ
気づきのポイント
猫の1日の飲水量は、体重1kgあたり50mlくらいだといわれています。とはいうものの、愛猫の水を飲む量を正確に把握することは難しいという飼い主様が多いです。そんなときは以下を目安に、飲水量が増えたかどうかを確認しましょう。また、水を飲む量が増えると薄い尿をたくさんするようになるため、尿の変化も飲水量の異常に気がつきやすいポイントになります。
・水飲み用ボウル一杯が一日で空になる
・猫砂の塊が大きくなった
・ペットシーツを交換する回数が増えた
・尿の色が薄い
主な原因疾患
運動後や気温の上昇、フードの変更、ストレスなどが原因で水を飲む量が増えることもありますが、以下の病気が原因である可能性も考えられます。
<慢性腎臓病>
長時間にわたり腎臓の働きが徐々に弱まっていく病気で、高齢の猫によく見られます。初期の段階ではほとんど症状はなく、まず最初に多飲多尿が見られます。その後、進行するにつれて食欲不振や嘔吐などの症状が見られるようになります。また、体内に老廃物が蓄積されて尿毒症を引き起こすと、元気消失や下痢、口臭などの症状も見られるようになり、重度の場合は意識障害や痙攣を起こし、そのまま命を落としてしまうこともあります。
<糖尿病>
膵臓から分泌されるインスリンがうまく作用せず、高血糖の状態が続いてしまう病気です。高齢の猫に多く見られ、特に肥満の猫は糖尿病のリスクが高まります。多飲多尿以外にも、多食や食べているのに体重が減るなどの症状が見られます。また、進行すると白内障やケトアシドーシスと呼ばれる全身症状に至り、命を脅かす状態に陥ることもあります。
<甲状腺機能亢進症>
甲状腺が腫れて大きくなり、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。10歳以上の猫に多く見られ、多飲多尿の他にも嘔吐や下痢、よく食べるのに体重が減る、活動性が高まる、攻撃的になるなどの症状が見られます。
この他にも、副腎皮質機能低下症(アジソン病)や高カルシウム血症、尿崩症、子宮蓄膿症など、さまざまな病気が疑われます。
早期発見のために
猫の場合は多飲多尿の症状に気が付きにくいため、日頃から意識的に水を飲む量や尿の量をチェックし、いち早く異常に気がつくことが大切です。
<病院を受診するタイミング>
・体重1kgあたり100ml以上の水を飲む
・体重にかかわらず、1日250ml以上の水を飲む
・体重1kgあたり50ml以上の尿をする
これらに一つでも当てはまる場合は、できるだけ早めに動物病院で検査を受けましょう。
まとめ
今回は猫の多飲多尿についてご紹介しました。
・体重1kgあたり100ml以上の水を飲む、もしくは体重にかかわらず1日250ml以上の水を飲む場合は多飲
・体重1kgあたり50ml以上の尿をする場合は多尿
・多飲多尿は慢性腎臓病や糖尿病、甲状腺機能亢進症などの病気によって起こる
・日頃から水を飲む量や尿の量をチェックし、早期発見することが大切
慢性腎臓病や糖尿病などは、治療が遅れると命を脅かす状態に陥ることもあります。そのため、日頃から飲水量や尿量、体調などをよく観察し、早期発見に努めましょう。
また、正確にはわからないけれど「なんとなく水を飲む量が増えた気がする」「なんとなく尿の量が増えた気がする」といった場合でも、検査を受けたら実は病気が潜んでいた、というケースも多く見られます。そのため、愛猫に少しでも異変を感じたら、早めに病院を受診しましょう。
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この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
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