コラム
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犬の震えや元気がない原因は?見逃されやすいアジソン病に注意
2026.04.20犬
最近、愛犬が「なんとなく元気がない気がする」「小刻みに震えているように見える」「下痢や嘔吐をする」といった異変が見られたことはありませんか?いつもと違う様子に不安を覚えながらも「一時的な体調不良かもしれない」と様子を見ている飼い主様は少なくありません。
犬は気温の変化や環境のストレスによって体調を崩すことがあります。そのため、震えや食欲不振、嘔吐や下痢といった症状が出ても、しばらくすると落ち着くケースもあります。しかし、良くなったり悪くなったりを繰り返す場合、その裏に病気が隠れている可能性があります。
その代表的な疾患の一つが「犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)」です。あまり耳にする機会は多くありませんが、見逃すと命に関わることもある病気です。だからこそ、漠然とした不調の段階で気づくことがとても重要です。
今回は犬のアジソン病について、見逃されやすい原因や症状、検査・治療方法などをご紹介します。

■目次
1.犬のアジソン病とは?
2.こんな症状はありませんか?アジソン病のサイン
3.なぜ見逃されやすいのか?
4.命に関わることもある「アジソンクリーゼ」とは?
5.診断・治療方法
6.まとめ
犬のアジソン病とは?
犬のアジソン病とは、副腎という小さな臓器の働きが低下し、体に必要なホルモンが十分に作られなくなる病気です。副腎は腎臓の近くにあり、目立たない存在ですが、生命維持に欠かせない役割を担っています。
副腎から分泌されるホルモンは、体内の水分や塩分のバランスを整えたり、血圧を保ったり、ストレスに対応したりする働きを持っています。つまり、体の内部環境を安定させるための重要な調整役です。このホルモンが不足すると、体のバランスが崩れ、元気がない、食欲が落ちるといった症状として現れます。
発症頻度は決して高いわけではありませんが、特定の年齢や犬種だけに限られるわけではなく、どの犬にも起こり得る病気です。そのため、知識として知っておくことが早期発見につながります。
こんな症状はありませんか?アジソン病のサイン
アジソン病の難しい点は、症状が特別なものではなく、日常でよく見られる不調と似ていることです。代表的な症状としては、以下のようなものがあります。
・震えが見られる
・食欲不振が続く
・嘔吐や下痢を繰り返す
・元気がない、ぐったりしている
これらの症状は一時的に改善することもあります。そのため、「少し疲れているだけかもしれない」と考えたり「年齢の影響だろう」と判断したりしてしまうことがあります。しかし、数日おきに同じような不調を繰り返したり、回復と悪化を行き来したりする場合は注意が必要です。
良くなったり悪くなったりを繰り返す体調不良は、体からの重要なサインです。軽い不調に見えても、背景に副腎皮質機能低下症が隠れている可能性があります。
なぜ見逃されやすいのか?
犬のアジソン病が見逃されやすい理由は、消化器症状や一時的な体調不良と区別がつきにくい点にあります。嘔吐や下痢が主な症状であれば、胃腸炎を疑うのが自然ですし、元気がない場合もさまざまな原因が考えられます。
さらに、初期の段階では一般的な血液検査で大きな異常が出ないこともあります。そのため、「はっきりとした原因が分からない不調」として様子を見られてしまうケースもあります。
しかし、原因が分からないまま体調不良を繰り返す状態は決して安心できるものではありません。受診や精密検査が遅れると、ある日突然、状態が急激に悪化する可能性があります。そのため「なんとなくおかしい」と感じた時点で、動物病院を受診することが大切です。
命に関わることもある「アジソンクリーゼ」とは?
アジソン病で特に注意すべきなのが、「アジソンクリーゼ」と呼ばれる急性の悪化状態です。強いストレスがかかったり、体調を崩したりしたことをきっかけに、体のバランスが一気に崩れることがあります。
具体的には、ぐったりして動けなくなる、立ち上がれない、意識がもうろうとするなどの症状が現れます。さらに、重度の脱水や血圧低下を伴うこともあり、迅速な治療が行われなければ命に関わる危険な状態です。
だからこそ、震えや元気がないといった初期のサインを見逃さないことが重要です。早めに受診し、必要な検査を受けることが、アジソンクリーゼを防ぐことにつながります。
診断・治療方法
犬のアジソン病は、血液検査を中心に体内の電解質バランスやホルモンの反応を確認しながら診断します。症状だけで判断するのではなく、複数の検査結果を総合して評価します。そのため、原因不明の体調不良が続く場合には、追加の検査を行うことが重要です。
診断が確定した後は、不足しているホルモンを補う治療を行います。主に投薬によってホルモンを補充し、体内のバランスを安定させます。適切な治療を続けることで、震えや食欲不振、元気消失などの症状が改善し、安定した日常生活を送れる犬は多くいます。
まとめ
愛犬に見られる震えや嘔吐、下痢、元気がないといった漠然とした不調の裏に、「犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)」が隠れている場合があります。良くなったり悪くなったりする体調不良を繰り返している場合には、原因を明らかにするための検査が重要です。
なお、当院では飼い主様のお話を丁寧に伺いながら、現在の状態や検査の必要性について分かりやすくご説明しています。インフォームドコンセントを大切にし、飼い主様と一緒に治療方針を考えます。気になる症状がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
永原動物病院
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この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。