犬や猫の血液検査でわかる隠れた健康問題〜獣医師が教えるフィラリア予防との関係〜

2025.06.16犬・猫

「うちの子は元気そうに見えるけど、本当に大丈夫かな?」そんな風に感じたことはありませんか?犬や猫は、外見ではわかりにくい体調の変化を我慢してしまうことがあります。だからこそ、目に見えない部分の健康状態を知るために、定期的な健康診断がとても大切です。

特に血液検査は、体内のさまざまな情報を知ることができる検査のひとつです。人間と同じように、犬や猫も定期的に血液検査を行うことで、病気の早期発見・早期治療につなげることができます。

今回は犬や猫の血液検査でどんなことが分かるのか、そしてフィラリア予防と血液検査を一緒に行うメリットなどについて、解説します。

■目次
1.犬や猫の血液検査とは?〜何を調べるの?〜
2.血液検査でわかる主な健康情報
3.なぜ健康そうに見える犬や猫にも血液検査が必要なの?
4.犬や猫の年齢別・推奨される血液検査の頻度
5.健康管理のために飼い主様ができること
6.フィラリア検査と一緒に行う血液検査のメリット
7.まとめ〜愛犬・愛猫の健康を守るために〜

犬や猫の血液検査とは?〜何を調べるの?〜

犬や猫の血液検査とは、体内の状態を把握するために少量の血液を採取して調べる検査です。検査そのものは短時間で終わるため、犬や猫への負担は最小限で済みます。採血後は専門の検査機器で成分を分析し、健康状態や体の異常の有無をチェックします。

血液検査では、主に肝臓や腎臓など内臓の機能や感染症の有無、貧血の兆候などを確認することができます。特別な症状が見られなくても、定期的に血液検査を行うことで、健康の維持や早期発見に大いに役立ちます。

 

血液検査でわかる主な健康情報

血液検査では、以下の重要な健康情報を確認することができます。

<肝臓機能>

肝臓の機能を示す数値が高い場合には、肝炎や中毒性疾患が疑われることがあります。逆に数値が低い場合は、肝機能の低下や栄養状態の問題が考えられます。

<腎臓機能>

腎臓は老廃物を処理する働きをしているため、数値が高くなると慢性腎臓病や脱水の可能性があります。

<膵臓機能>

膵臓の機能を確認することで、糖尿病や膵炎といった疾患も早期に疑うことができます。

<甲状腺機能>

甲状腺のホルモンバランスも血液検査で分かります。ホルモンの異常は体重の増減や元気のなさなど、さまざまな体調の変化につながります。

高齢猫に多い甲状腺機能亢進症についてはこちらから

<炎症・感染症>

白血球の数を調べることで体内で炎症が起きていないか、感染症にかかっていないかを確認できます。

<貧血>

赤血球の数やヘモグロビン濃度を調べることで、貧血の有無やその原因を探ることが可能です。

これらの結果から病気の兆候を早期に発見し、適切な治療方針を立てることができます。

 

なぜ健康そうに見える犬や猫にも血液検査が必要なの?

犬や猫は、人間のように体の異常を訴えることができず、本能的に不調を隠してしまいます。そのため、飼い主様が見た目だけで健康状態を判断するのは困難です。

慢性腎臓病や糖尿病などの病気は、症状が出る頃にはすでに進行していることが多く見られます。しかし、血液検査を定期的に受けていれば、症状が出る前に異常を察知し、早期に治療を始めることができます。また、早期発見ができれば、治療の選択肢も増え、犬や猫の体への負担も軽く済みます。

 

犬や猫の年齢別・推奨される血液検査の頻度

血液検査の頻度は、犬や猫の年齢によって異なります。

<子犬・子猫(1歳未満)>

成長のスピードが早いため、年に1回の健康診断と血液検査が推奨されます。

<成犬・成猫(1歳〜6歳)>

病気のリスクがそれほど高くない時期ですが、それでも年に1回は定期検査を受けておくと安心です。

<シニア犬・シニア猫(7歳以上)>

この時期からは加齢に伴う病気のリスクが高まるため、半年に1回の検査が理想的です。

また、持病がある場合や長期的に薬を服用している場合には、より頻繁な検査が必要になることもあります。

岡山市南区にある当院では、犬や猫の年齢や体調、生活環境に合わせた健康診断プランをご提案していますので、お気軽にご相談ください。

 

健康管理のために飼い主様ができること

愛犬や愛猫の健康を守るためには、動物病院での定期的な健康診断や血液検査が重要です。しかし、ほかにも日常の中でできる健康管理がいくつかあります。

<食事管理>

毎日の食事に気を配り、栄養バランスの良いごはんを与えましょう。

<ストレス軽減>

適度な運動を心がけ、ストレスの少ない生活環境を整えることも大切です。

ほかにも、体重の増減、水の飲む量、食欲や排泄の状態など、ちょっとした変化にも敏感になることで、異常のサインにいち早く気づくことができます。もし気になることがあれば、お気軽に当院にご相談ください。

 

フィラリア検査と一緒に行う血液検査のメリット

春から初夏にかけては、フィラリア予防のための検査を行う時期です。このタイミングで、血液検査も一緒に実施することで、健康チェックを無駄なく効率的に行うことができます

フィラリア予防薬を安全に投与するためには、肝臓や腎臓がしっかりと機能しているかを確認する必要があります。もし内臓に異常があるまま薬を与えると、副作用のリスクが高まるためです。

当院では、フィラリア検査の際に血液検査も一緒に行うことで、犬や猫の体の全身の健康状態を総合的にチェックできる健康診断をおすすめしています。フィラリア予防のためだけでなく、体の中に隠れた病気の早期発見にもつながる大切な機会です。大切な家族の健康を守るためにも、年に1回以上は定期的な健康診断を受けましょう。

 

まとめ〜愛犬・愛猫の健康を守るために〜

犬や猫の健康状態は、外見だけでは判断が難しいことが多くあります。そのため、定期的な健康診断や血液検査は、健康を維持するうえで欠かせない重要な手段です。特にフィラリア検査と同時に行うことで、安全性と効率を兼ね備えた健康チェックが可能になります。

岡山市南区にある当院では、丁寧で分かりやすい説明を心がけながら、犬や猫の健康管理をお手伝いしています。定期的な検査を通じて病気の早期発見に努め、愛犬や愛猫が健やかな毎日を送れるようサポートいたします。

気になる症状やご不安なことがありましたら、フィラリア予防のシーズンに限らず、いつでもお気軽にご相談ください。大切なご家族の健康を守るために、スタッフ一同全力でサポートいたします。

 

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この記事を書いた人
永原 未悠(ながはら みゆ)
  • 永原動物病院 院長
  • 永原 未悠(ながはら みゆ)

飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。

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