春に増える犬や猫の発情期トラブル|未避妊・未去勢の子に見られる行動と注意点

2026.07.02犬・猫

春になると「愛猫が発情期に大きな声で鳴くようになった」「愛犬が落ち着かない」「急にマーキングを始めた」など、犬や猫の行動の変化に戸惑う飼い主様からのご相談が増える時期です。

普段は穏やかに過ごしている犬や猫でも、発情期になるとホルモンの影響によって行動の変化が見られる場合があります。そのため「性格が変わったのではないか」「何かの病気ではないか」と不安を感じる飼い主様もいらっしゃいます。

一方で、発情期の行動はすべての未避妊・未去勢の犬や猫に必ず表れるわけではありません。個体差があり、同じ犬種や猫種でも行動の変化がほとんど見られない子もいます。

そこで今回は、犬や猫の発情期に見られる行動変化や起こりやすいトラブル、そして飼い主様が知っておきたい対策などについて解説します。

■目次
1.犬や猫の発情期とは?春に行動が変わる理由
2.発情期に見られる犬・猫の行動変化
3.発情期に起こりやすいトラブル(脱走・妊娠・感染症)
4.避妊・去勢で期待できること(メリット)
5.手術すれば行動はなくなる?よくある誤解
6.まとめ|発情期の行動に悩んだら早めに相談を

犬や猫の発情期とは?春に行動が変わる理由

発情期とは、繁殖のために体が準備を整える生理的な変化です。体内で分泌される性ホルモンの影響により、行動や性格に変化が表れる場合があります。

ただし、犬と猫では発情周期が異なり、発情が起こるタイミングにも個体差があります。犬では、一般的に年に1〜2回ほど発情が見られます。一方、猫では日照時間の影響を受けやすく、春から夏にかけて発情が繰り返されやすい傾向があります。

そのため、春になると特に猫の発情期に関するご相談が増えることが多いです。

なお、発情期には以下のような行動が見られる場合があります。

・落ち着きがなくなる
・外に出たがる
・鳴き声が増える
・マーキングをする

ただし、これらの行動が必ず表れるわけではありません。犬や猫の性格や生活環境によって変わります。

発情期に見られる犬・猫の行動変化

発情期には、ホルモンの影響によってさまざまな行動の変化が見られる場合があります。

<犬で見られる行動>

・腰振り行動(マウンティング)
・足を上げて排尿する
・落ち着きがなくなる

特にオス犬では、発情しているメス犬の匂いに反応して興奮したり、外へ行こうとしたりする行動が強くなる場合があります。

ただし、上記のような行動は発情だけが原因とは限りません。遊びや興奮、習慣として行う犬もいるため、去勢の有無に関係なく見られることもあります。

<猫で見られる行動>

・大きな声で鳴く(コーリング)
・スプレー行為(マーキング)
・落ち着きがなくなる

特に発情期の鳴き声は普段よりも大きくなる場合があり、夜間に長時間続くこともあります。そのため「猫の発情期の鳴き声がうるさい」と感じて困ってしまう飼い主様もいらっしゃいます。

しかし、これらの行動もすべての猫に見られるわけではなく、性格や生活環境によって大きく異なります。

発情期に起こりやすいトラブル(脱走・妊娠・感染症)

発情期で特に注意したいのが、脱走によるトラブルです。

発情期になると、外へ出たいという行動が強くなる犬や猫もいます。特に、普段は室内で落ち着いている猫でも、窓やドアの隙間から外へ出ようとする場合があります。

実際に、発情期に脱走した猫が外で交配してしまい、そのまま妊娠して帰宅するケースも見られます。また、外でほかの猫と争ったり、ケガをして帰宅したりすることもあります。

さらに、外での接触によって感染症のリスクが高まる可能性もあります。

犬でも、発情による興奮から脱走してしまい、交通事故などのトラブルにつながる場合があります。そのため、発情期には普段以上に脱走対策を意識することが大切です。

避妊・去勢で期待できること(メリット)

避妊・去勢手術を行うことで、発情に関連した行動が落ち着く場合があります。

例えば、以下のような変化が期待できる場合があります。

・マーキング行動の減少
・発情期の鳴き声の軽減
・望まない妊娠の予防

また、子宮や精巣に関わる病気の予防につながる可能性もあります。

一方で、手術には麻酔が必要となるため、体への負担がまったくないわけではありません。そのため、愛犬や愛猫の年齢や体調、生活環境などを踏まえながら避妊・去勢手術を検討することが大切です。

手術すれば行動はなくなる?よくある誤解

避妊・去勢手術について「手術をすれば問題行動が必ずなくなる」と考えている飼い主様もいらっしゃいますが、実際にはそうとは限りません。

例えば猫のマーキングは、去勢によって改善するケースが多いとされています。ただし、すでに習慣として定着している場合には、術後も行動が続くことがあります。

猫の発情期の鳴き声も同様です。ホルモンの影響による鳴き声は落ち着くことが多いものの、習慣化した鳴き声は手術後も残る場合があります。

また、犬の腰振り行動や足を上げて排尿する行動も、去勢後に必ずなくなるとは限りません。特に足を上げての排尿は、去勢の有無に関係なく行う犬も多く見られます

このように、発情に関連する行動は手術によって改善する場合もありますが、すべての犬や猫の行動が解決するわけではありません。性格や生活環境、これまでの習慣なども関係するため、個体差がある点を理解しておくことが大切です。

まとめ|発情期の行動に悩んだら早めに相談を

犬や猫の発情期に見られる行動変化は、生理的な変化の一つです。ただし、脱走や望まない妊娠、感染症などのトラブルにつながる可能性もあるため注意が必要です。

また、避妊・去勢手術によって発情に関連する行動が落ち着く場合もありますが、必ずすべての行動がなくなるわけではありません。

そのため、発情期の行動や避妊・去勢手術については、正しい情報をもとに判断することが大切です。

岡山県岡山市にある当院では、飼い主様とのインフォームドコンセントを大切にしながら、犬や猫の性格や生活環境に合わせて治療方針を一緒に考えています。行動の変化で気になる点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。当院では、犬や猫と飼い主様が安心して生活できるよう、ホームドクターとして日々の健康管理や予防の面からもサポートしております。

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この記事を書いた人
永原 未悠(ながはら みゆ)
  • 永原動物病院 院長
  • 永原 未悠(ながはら みゆ)

飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。

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