コラム
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岡山でも要注意!マダニが媒介するSFTSとは?犬・猫・人への感染リスクを獣医師が解説
2026.02.18犬・猫
近年、岡山県内でも「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」という感染症の発生が報告されています。この病気はマダニがウイルスを運ぶことで起こり、犬や猫、そして人にも影響を及ぼすことがあります。
「うちの子は室内飼いだから大丈夫」と思っていても、ベランダや庭先で付着することもあるため注意が必要です。
今回は、マダニとSFTSの基本知識から、犬や猫が刺されたときの対応、倒れている野良犬・野良猫への接し方、そして日常でできる予防策までを、岡山の獣医師の視点から解説します。

■目次
1.マダニって何?SFTSってどんな病気?
2.犬・猫がマダニに刺されたらどうなる?症状と対応
3.倒れている野良犬・野良猫を見つけたときの対応
4.予防と日常ケアでできること
5.まとめ
マダニって何?SFTSってどんな病気?
まずは、SFTSを理解するために、原因となるマダニと病気の特徴を簡単に押さえておきましょう。
<マダニの特徴と活動場所>
マダニは、動物の血を吸って生きる寄生虫の一種で、湿った草むらや藪、河川敷などに多く生息しています。春から秋にかけて活動が活発になりますが、岡山のような温暖な地域では、冬でも活動が続くことがあります。散歩コースや庭、公園など、日常の何気ない場所にも潜んでいるため、季節を問わず注意が必要です。
<SFTSとは?>
SFTSは、マダニが持つウイルスに感染することで発症する病気です。
人が感染すると、発熱・倦怠感・食欲不振・下痢などの症状が現れ、重症化すると命に関わる場合もあります。岡山県内でも毎年数件の感染報告があり、西日本全体で注意が呼びかけられています。
<動物から人にうつることも>
多くはマダニに刺されて感染しますが、感染した犬や猫の血液・唾液などの体液を介して、人にうつることもあります。弱っている動物を見つけた際は、助けたい気持ちを大切にしながらも、まずは安全を確保することが大切です。
<犬と猫では猫のほうが発症しやすい傾向>
SFTSは犬・猫どちらにも感染しますが、国内の報告では猫の方が発症しやすく、重症化する例も多いとされています。一方で、犬も屋外での散歩中にマダニに刺されて感染することがあるため、どちらも油断はできません。
犬・猫がマダニに刺されたらどうなる?症状と対応
刺されてから発症するまでには、だいたい1〜2週間ほどかかるといわれています。
<主な症状>
犬や猫にこんな様子が見られたら注意が必要です。
・元気がない、食欲が落ちた
・熱っぽい、ぐったりしている
・吐いたり下痢をしたりする
進行すると出血傾向や臓器の障害が起こることもあり、命に関わる場合もあります。「マダニに刺されたかも」「なんとなく様子がおかしい」と感じたら、できるだけ早く動物病院へ相談しましょう。
<飼い主様への感染にも注意>
愛犬・愛猫の唾液や血液にウイルスが含まれているおそれがあります。
体調不良の子を看病する際は、手袋やマスクを使用し、接触後は手洗いや消毒を忘れずに行いましょう。
倒れている野良犬・野良猫を見つけたときの対応
道端や公園などで弱った犬や猫を見つけると「なんとかしてあげたい」と思う方も多いでしょう。その優しさはとても大切ですが、SFTSをはじめとする感染症のリスクを考えると、まずはご自身の安全を守ることが何よりも重要です。
<安全に近づくためのポイント>
思いやりのある行動が、正しい知識と慎重な判断によって、より多くの命を守ることにつながります。
①距離をとって様子を見る
すぐに触らず、動物の反応や周囲の状況を確認しましょう。
②手袋・マスクを着用
できる限り素手では触れないようにします。
③無理に動かさない
けがをしている場合、移動で悪化することがあります。
④病院へ運ぶ場合は先に電話にて問い合わせをする
SFTSが強く疑われる場合には、院内での感染拡大を防ぐ観点から、すぐに診察をお受けできないこともあります。費用やその後の管理の方法についても事前にお伝えした方が安心していただけるため、来院前に一度お電話でご相談いただくことをお勧めします。
また、発見した「場所」「時間」「動物の状態」「マダニの有無」などを写真やメモで残しておくと、診察の際にとても役立ちます。
感染の疑いがある動物を扱う際は、保護した方だけでなく、診療にあたるスタッフの安全を守るためにも、慎重な対応と、できるだけ詳しい情報提供へのご協力をお願いします。
<飼えない場合の選択肢も>
一時的に保護しても「このまま飼うのは難しい」と感じることもあるでしょう。そんなときは、地域猫活動を行うボランティア団体や動物愛護センターへご自身で連絡し、ご相談いただくことをお願いしております。
「助けたい」というお気持ちはとても尊いものですが、連れてきたあとに飼えるかどうか、責任を持って世話を続けられるかも大切な視点です。焦らず、ご自身と動物の双方にとって無理のない方法を一緒に考えていきましょう。
予防と日常ケアでできること
「うちは完全室内飼いだから関係ない」と思われるかもしれませんが、ベランダや庭、散歩帰りの靴などから室内にマダニが入り込むこともあります。ここでは、犬・猫、飼い主様ご自身、そして生活環境ごとにできる対策をご紹介します。
<犬・猫のための予防>
まずは、愛犬・愛猫の体を守ることから始めましょう。
◆定期的なマダニ予防薬の使用
マダニは一度つくと簡単には離れません。動物用の予防薬(スポットタイプや内服タイプ)を定期的に使うことで、刺咬や感染のリスクを大幅に減らせます。薬の種類や間隔は体重や年齢によって異なるため、かかりつけの動物病院で相談しながら続けていくのが安心です。
◆散歩や外出後のチェック
耳の裏・首のまわり・わき腹・足の付け根などは、マダニがつきやすい場所です。撫でながら優しく確認し、黒っぽい粒のようなものを見つけたら、無理に取らず病院へご相談ください。
◆定期健診での体調管理
マダニ対策に限らず、動物病院での定期的な健康チェックで体調を見守ることが、感染症の早期発見にもつながります。ワクチンの履歴や持病の情報を把握しておくことで、万が一のときもより的確な対応が可能です。
<飼い主様ご自身の予防>
「自分が刺されない」ことと「マダニを家に持ち込まない」ことは、愛犬・愛猫を守ることにもつながります。
・草むらでは長袖・長ズボンを着用し、肌の露出をできるだけ減らしましょう。
・帰宅後は衣類をすぐに洗濯し、シャワーで皮膚を洗い流すと安心です。
・玄関での着替えや靴底の確認も効果的です。
<環境対策も忘れずに>
マダニは、草むらや落ち葉の下など湿った環境を好みます。ご自宅の庭や敷地の雑草をこまめに刈ることで、マダニが繁殖しにくい環境をつくることができます。
また、家庭菜園やガーデニングを楽しむ際は、手袋・長袖の着用を心がけましょう。屋外で使った道具やマットは、そのまま室内に持ち込まず、一度外で払うのも予防になります。
こうした日常の積み重ねが、犬や猫、そして飼い主様ご自身を感染症から守る大きな力になります。
まとめ
マダニやSFTSは、岡山でも決して他人事ではありません。だからこそ「もしものとき」はもちろん、普段から信頼できる動物病院をかかりつけ医としてもっておくことで、体調やワクチンの履歴などをふまえた、より安心できるサポートを受けられます。
永原動物病院では、マダニ予防薬の種類や使用スケジュールなどについても丁寧にご案内しています。「うちの子に合った予防法を知りたい」「マダニ対策を始めたい」と思ったときは、どうぞお気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。