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犬や猫が痩せてきた…原因は?|体重減少で疑うべき病気と受診のタイミング
2026.06.25犬・猫
「最近、なんだか細くなってきた気がする」「抱き上げたときに軽く感じるようになった」
愛犬・愛猫の体重の変化に気づいたとき、多くの飼い主様が最初に思うのは「年をとってきたからかな」といったことかもしれません。
しかし、犬や猫が目に見えて痩せてくるとき、その背景には何らかの病気や体調不良が隠れていることがあります。特に、食事の量や種類を変えていないのに体重が減ってきている場合「体が栄養をうまく使えていないサイン」の可能性があります。
そこで今回は、犬や猫が痩せてしまう主な原因や、年齢・種類による違い、受診の目安となる具体的なポイントについて詳しく解説します。

■目次
1.犬や猫が体重減少する主な原因とは?
2.年齢や種類によって異なる「痩せ方の傾向」
3.どのくらい痩せたら病院に行くべき?【受診の目安】
4.病気の早期発見につながる健康診断と検査のすすめ
5.再発や進行を防ぐための通年管理とフォロー体制
6.まとめ
犬や猫が体重減少する主な原因とは?
痩せていく原因にはさまざまな背景があります。見た目では元気そうに見えても、内臓や代謝に異常が起きているケースも少なくありません。
・食欲が落ちている(摂取量の低下)
フードの好みが変わった、口の中に痛みがある、環境のストレス、内臓の不調など、さまざまな理由で食事の量が減ると、当然ながら体重も減っていきます。
猫は特に環境の変化に敏感で、少しのストレスで食欲を失うこともあります。
・消化や吸収がうまくいっていない
フードを食べていても、腸のトラブルなどでうまく消化・吸収されていないこともあります。消化器系の疾患(慢性腸症、膵炎など)は、見た目にわかりにくいことも多いです。
・代謝の異常(ホルモンの病気)
猫に多い甲状腺機能亢進症では、食欲はあるのにどんどん痩せていくという特徴があります。また、犬では糖尿病や副腎の病気などが、体重減少と関係することもあります。
甲状腺機能亢進症についてより詳しく知りたい方はこちら
犬の糖尿病についてより詳しく知りたい方はこちら
猫の糖尿病についてより詳しく知りたい方はこちら
・慢性的な内臓疾患
腎臓病・肝臓病・心臓病など、長期間にわたってじわじわと体を蝕む病気では、体重減少が「初めてのサイン」になることもあります。
腎臓病についてより詳しく知りたい方はこちら
肝臓病についてより詳しく知りたい方はこちら
・腫瘍(がん)
腫瘍がある場合、体がエネルギーを過剰に消費してしまい、筋肉や脂肪が減っていくケースがあります。
・シニア期の筋肉量低下(サルコペニア)
年齢とともに、活動量の低下や栄養吸収の変化によって筋肉が落ち、痩せて見えるようになることもあります。ただし、「歳だから仕方ない」と思わず、病気による痩せとの違いを見極めることが大切です。
年齢や種類によって異なる「痩せ方の傾向」
体重減少の背景には、その子の年齢や犬種・猫種による違いも影響します。
<子犬・子猫期の場合>
本来、子犬・子猫はぐんぐん成長し、体重も順調に増えていく時期です。この時期に体重が増えない、むしろ痩せてきている場合は、栄養が足りていないか、栄養をうまく吸収できていない可能性があります。
フードの種類や与え方がその子に合っていない、寄生虫(お腹の虫)や先天性の心臓・肝臓の病気、消化器疾患など、背景にはさまざまな要因が考えられます。
<成犬・成猫期の場合>
体の成長が落ち着いているはずの成犬・成猫で体重が減ってきた場合、生活環境の変化による一時的なストレスから消化器疾患・内臓疾患・中毒まで、原因の幅は広くなります。
急な嘔吐や下痢を伴っていれば、フードの急な変更や誤食、中毒(人の薬、観葉植物、玉ねぎなど)が影響していることもありますし、特に目立った症状がないまま、数ヶ月かけてじわじわ痩せていく場合は、慢性の腸疾患や内臓疾患が隠れていることもあります。
<シニア期(7歳以降)の場合>
シニア期に入った犬や猫では、慢性腎臓病、心臓病、肝臓病、ホルモン疾患(糖尿病、甲状腺機能亢進症/低下症など)、腫瘍が原因で痩せてくるケースが増えてきます。
犬では、散歩の距離が短くなったり、食欲にムラが出たりといった形で変化に気づかれることが多いですが、猫の場合は「寝ていることが増えた」「遊ばなくなった」という変化だけで、飼い主様が病気と結びつけにくいことも少なくありません。
どのくらい痩せたら病院に行くべき?【受診の目安】
「痩せてきた気がする」と感じても、すぐに病院に行くべきかどうか迷われる飼い主様は多いと思います。ここでは、一つの目安となるポイントをご紹介します。
<体重の変化で見る目安>
体重の変化を数値として見るとき、目安となるのは「減った割合」です。
2週間ほどのあいだに、体重が5%以上減っている。(例:体重5kgの猫が、2週間で250g以上減っている)このような変化が見られる場合は、体調や行動が元気そうに見えても、一度受診をおすすめします。
<食事内容や生活が変わっていないのに痩せる場合>
フードの種類や量、運動量などがほとんど変わっていないのに痩せてきている場合は、体のどこかで栄養の吸収や代謝に異常が起きているサインかもしれません。
<BCS(ボディコンディションスコア)でのチェック>
動物病院では、体重だけでなく「BCS(ボディコンディションスコア)」という指標も使います。これは、肋骨や腰骨、くびれの状態などから、痩せすぎ〜太りすぎを評価するものです。
ご自宅でできる簡単なチェックとしては、以下のような方法です。
・肋骨を軽く触ったときに、薄い脂肪を通してやや感じる程度なら「ちょうど良い」
・触らなくても肋骨の線がはっきり見える、背骨や腰骨が浮き出ている場合は「痩せすぎ」の可能性
急に骨ばったように見えてきた、腰回りのボリュームが明らかに減った、といった変化は、受診のサインと考えてください。
病気の早期発見につながる健康診断と検査のすすめ
体重減少の原因を探るには、症状だけではなく血液検査や画像検査(超音波・レントゲン)が重要です。
当院では、まず丁寧な問診から、体重減少の経過や食事内容、生活環境、年齢などを整理していきます。そのうえで、必要に応じて次のような検査を組み合わせます。
・血液検査
貧血の有無、肝臓や腎臓の機能、血糖値、炎症の有無、ホルモンの異常(甲状腺・副腎など)の可能性などを確認します。
・尿検査
腎臓病や糖尿病の評価、脱水の程度などを調べます。猫の慢性腎臓病では特に重要な検査です。
・超音波(エコー)検査
お腹の中の臓器(肝臓、腎臓、脾臓、腸、膵臓、リンパ節など)の形や大きさ、腫瘍の有無、血流の状態などを確認します。
・レントゲン検査
腫瘍の有無、胸部(心臓・肺)の状態、全体的な骨格や内臓の位置関係などを評価します。
必要に応じて、さらなる詳しい検査(ホルモン検査、内視鏡など)を検討することもあります。
こうした検査で見つかった病気に応じて、お薬による内科治療、点滴、食事(フード)の見直し・処方食、生活環境の調整など、それぞれの子に合わせた治療・ケアのプランを立てていきます。
再発や進行を防ぐための通年管理とフォロー体制
一度体重減少の原因が見つかり、治療を始めたあとも、そのまま放っておいてよいわけではありません。
慢性腎臓病や心臓病、ホルモン疾患、慢性腸疾患、腫瘍など、体重減少を引き起こす病気の多くは、「治して終わり」ではなく、「うまく付き合っていく」ことが大切な病気です。
そのため当院では、年1回の健康診断に加え、年齢や持病に応じて、年2回以上の定期チェックをおすすめします。経過を見ながら、フードの種類や量、与え方を細かく調整していきます。
特に、処方食が必要な病気(腎臓病、肝臓病、心臓病、消化器疾患、慢性膵炎など)の場合、フード選びは治療の一部と言っても過言ではありません。
当院では処方食にも力を入れており、その子の病気だけでなく「食べることが好き」「食が細い」など性格や生活スタイルも踏まえてご提案するよう心がけています。
まとめ
体重の減少は、見た目ではわかりづらく、つい「年齢のせい」「一時的なもの」と見逃してしまいがちです。
ですが、犬や猫にとっての「痩せる」は、体のどこかに異常があるサインであることも少なくありません。
少しでも気になる変化があれば、どうかお早めにご相談ください。
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岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
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この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。