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犬の咳が止まらない・ゼーゼーする…それは気管虚脱かも?症状と対処法を解説
2026.06.23犬
「最近、愛犬が咳をするようになった」「ガーガーと苦しそうな音を出している」「ゼーゼーした呼吸が気になる」など、いつもと違う呼吸に気づき、戸惑われる飼い主様も少なくありません。
犬の咳は、一時的な刺激によるものもありますが、咳が続いていたり、呼吸が苦しそうだったりする場合は、気管に異常が起きている可能性も考えられます。
特に小型犬で注意したい病気のひとつが「気管虚脱」です。気管虚脱は、気管が押しつぶされることで空気の通り道が狭くなり、咳や呼吸異常が表れる病気です。初期は軽い咳だけの場合もあるため、「様子を見ても大丈夫かな」と判断されやすい傾向があります。
しかし、進行すると呼吸への負担が強くなり、日常生活に影響が出るケースもあります。
そこで今回は、犬の気管虚脱の症状や原因、おうちでできる対策などについて解説します。

■目次
1.犬の気管虚脱とはどんな病気?
2.気管虚脱でみられる主な症状
3.気管虚脱の原因と悪化しやすい生活習慣
4.診断・治療方法
5.おうちでできる対策と予防のポイント
6.まとめ
犬の気管虚脱とはどんな病気?
気管虚脱とは、空気の通り道である「気管」がつぶれ、呼吸がしづらくなる病気です。
通常、気管は軟骨によって筒状の形が保たれています。しかし、軟骨が弱くなることで形を維持できなくなると、呼吸をするたびに気管が狭くなり、咳や呼吸異常が表れます。
気管虚脱は、特に以下のような小型犬で多く見られる傾向があります。
・チワワ
・トイ・プードル
・ポメラニアン
・ヨークシャー・テリア
・マルチーズ
・パグ
・フレンチ・ブルドッグ
また、気管虚脱は進行性の病気とされており、時間の経過とともに症状が強くなる場合があります。そのため、早い段階で変化に気づき、適切に管理していくことが大切です。
なお、この病気は完全に元の状態へ戻すことが難しいケースもあるため、治療では「咳を減らす」「呼吸を楽にする」といった症状のコントロールが中心になります。
愛犬ができるだけ穏やかに過ごせるよう、生活の質(QOL)を維持していく視点が重要です。
気管虚脱でみられる主な症状
気管虚脱では、特徴的な咳や呼吸の変化が表れます。
代表的なのが、「ガーガー」「ガハガハ」といった、アヒルの鳴き声のような咳です。
特に、以下のようなタイミングで症状が出やすくなる傾向があります。
・興奮したとき
・運動後
・散歩中
・抱き上げたとき
・首輪を引っ張ったとき
また、咳だけではなく、以下のような変化が見られる場合もあります。
・ゼーゼーした呼吸
・ヒューヒューという呼吸音
・息苦しそうな様子
・呼吸が速い
初期では「たまに咳をする程度」のことも少なくありません。そのため、「よくある咳かな」と様子を見続けてしまうケースもあります。しかし、徐々に咳の回数が増えたり、以前より苦しそうな呼吸になったりする場合は注意が必要です。
さらに重度になると、酸素不足によって舌や歯ぐきが紫色になる「チアノーゼ」や、失神につながる可能性もあります。
特に、「呼吸が苦しそう」「横になっても落ち着かない」といった様子が見られる場合は、早めの受診が大切です。
気管虚脱の原因と悪化しやすい生活習慣
気管虚脱は、ひとつの原因だけで起こる病気ではありません。
もともとの体質に加え、加齢や生活環境など、複数の要因が重なることで症状が表れるケースが多いと考えられています。
まず大きな要因として挙げられるのが、先天的な気管の弱さです。生まれつき気管を支える軟骨が弱い犬では、若いうちから症状が出る場合があります。また、加齢によって軟骨がさらに弱くなり、中高齢になってから咳が増えるケースもあります。
さらに、以下のような場合も悪化につながる要因があります。
<肥満>
体重が増えると呼吸への負担が大きくなります。特に首まわりや胸部への圧迫が強くなるため、咳や呼吸異常が悪化しやすくなります。
<首輪による圧迫>
散歩中に首輪を強く引っ張る習慣がある場合、気管へ直接負担がかかります。なお、咳が出やすい犬では、首輪よりもハーネスの使用が勧められる場合があります。
<暑さや興奮、ストレス>
暑い環境では呼吸が荒くなりやすく、気管への負担も増加します。また、興奮して激しく吠えたり走り回ったりすることでも、症状が強く表れるケースがあります。
このように、気管虚脱は日頃の生活習慣とも関わりが深いため、治療だけではなく生活環境の見直しも大切です。
診断・治療方法
気管虚脱では、まず飼い主様から詳しくお話を伺います。
なお、咳の症状は診察室では緊張や環境の変化によって見られないことがあります。そのため、ご自宅で咳や呼吸の様子に気になる症状が見られた際は、動画を撮影して動物病院にお持ちいただけると診断の参考になります。
問診では、「どのような咳か」「いつ症状が出やすいか」「どのくらい前から続いているか」などを確認しながら、呼吸状態や全身の様子を診察していきます。
そのうえで、聴診やレントゲン検査などを行い、気管の状態を確認します。ただし、気管虚脱は呼吸のタイミングによって状態が変化するため、必要に応じて追加検査を検討する場合もあります。
治療方法は、症状の程度によって異なります。
<軽度の場合>
以下のような、内科的な管理を中心に進めていくことが一般的です。
・咳のコントロール
・呼吸を楽にする管理
・生活環境の改善
・体重管理
<重度の場合>
外科的治療を検討することもあります。ただし、手術には適応の見極めが必要です。また、実施できる施設や治療内容は病院によって異なるため、事前に相談することが大切です。
気管虚脱は長く付き合っていく病気になるケースもあります。そのため、「症状をどのようにコントロールしながら生活していくか」を飼い主様と一緒に考えていくことが重要になります。
おうちでできる対策と予防のポイント
気管虚脱では、以下のような日常生活を見直すことで呼吸への負担を減らせる場合があります。
<体重管理を意識する>
肥満は呼吸への負担を大きくします。そのため、フード量を調整したり、食事内容を見直したりしながら、適切な体重を維持することが大切です。
<ハーネスを使用する>
首輪で強く引っ張ると、気管へ負担がかかる場合があります。そのため、散歩では首輪ではなくハーネスを使用し、首まわりへの圧迫を減らしてあげましょう。
<室温や湿度を整える>
暑さや蒸し暑い環境では呼吸が荒くなりやすく、症状が悪化する場合があります。特に夏場は、エアコンを活用しながら快適な室温を保つよう意識しましょう。
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<興奮しすぎない環境をつくる>
急に走り回ったり、興奮して吠え続けたりすると、咳が出やすくなる場合があります。そのため、大きな音や刺激が少なく、ゆっくり休める環境を整え、無理のない生活リズムを心がけましょう。
<日頃から健康チェックを行う>
「以前より咳が増えた」「ゼーゼーする回数が多い」など、小さな変化に気づくことが早期発見につながります。そのため、定期的な健康診断を受けながら、日頃の様子を確認してあげることも大切です。
まとめ
愛犬の咳やゼーゼーした呼吸が続くと、「少し様子を見ても大丈夫かな」と迷われる飼い主様もいらっしゃると思います。
しかし、気管虚脱は進行によって呼吸への負担が大きくなる可能性がある病気です。
咳が長引いていたり、ガーガーした咳が増えていたりする場合は注意が必要です。
また、早い段階で状態を把握し、適切に管理していくことで、穏やかな生活を目指せる場合があります。
なお、当院では飼い主様との対話を大切にしながら、愛犬の状態や今後の治療方針について丁寧にご説明できるよう努めています。
「このくらいで相談してもいいのかな」と感じるような小さな変化でも構いません。地域のホームドクターとして、愛犬と飼い主様が安心して毎日を過ごせるようサポートしてまいります。
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岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
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この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。