コラム
COLUMN
犬や猫の内視鏡検査|検査が必要になるケースやできる処置とは?
2026.08.31犬・猫
犬や猫の嘔吐や下痢などの消化器症状が続く場合、その原因を調べるためには、症状や経過に応じてさまざまな検査を組み合わせることが大切です。
消化管の状態を詳しく調べる検査方法のひとつに「内視鏡検査」があります。犬や猫の内視鏡検査は、人間でいう「胃カメラ」のような検査で、食道や胃、腸の一部を直接観察することができます。
さらに、必要に応じて組織を採取したり、胃内に異物がある場合には、状態によって内視鏡を使って摘出したりすることも可能です。
ただし、消化器症状があるからといって、すぐに内視鏡検査を行うわけではありません。問診や身体検査、血液検査、レントゲン検査、超音波検査などの結果を踏まえ、必要性を検討します。
今回は、永原動物病院で行っている内視鏡診療についてご紹介します。

■目次
1.内視鏡検査で見えるもの・分かること
2.こんな場合に内視鏡が役立ちます
3.開腹手術との違い|内視鏡のやさしさ
4.永原動物病院の内視鏡検査について
5.内視鏡検査を受けた飼い主様の声
6.まとめ
内視鏡検査で見えるもの・分かること
内視鏡は、細く柔らかいカメラを口から入れて、食道・胃・腸の入り口あたりまでをモニターに映しながら観察することができます。
体の中を直接見ることができるため、主に以下のようなことを確認できます。
<胃腸の粘膜の状態>
赤みやただれなど、炎症を疑う粘膜の変化を確認できます。
<異物が入っていないかどうか>
誤っておもちゃやタオルの切れ端などを飲み込んでしまった場合、内視鏡で異物の存在を確認できます。異物の大きさや種類によっては、その場で取り出せることもあります。
<潰瘍(かいよう)や出血の有無>
粘膜に深い傷ができていたり、出血している部分がないかを直接見たりすることができます。嘔吐や食欲不振の原因が、こうした異常によることもあります。
<できもの(腫瘤)の大きさや形>
食道や消化管など、内視鏡で観察できる範囲にしこりや腫瘍のようなものがある場合、その大きさや形を確認できます。
<粘膜の一部を採取して検査(生検)>
蛋白漏出性腸症などが疑われる場合には、内視鏡で消化管の粘膜を観察するとともに、小さな専用の器具を使って組織の一部を採取し、病理検査(組織検査)を行うことがあります。
内視鏡では、これらの情報をリアルタイムで画面に映しながら確認できるため、診断や治療方針を検討するための情報を得ることができます。
こんな場合に内視鏡が役立ちます
内視鏡検査は、症状だけをもとに行うものではありません。まずは問診や身体検査に加え、必要に応じて血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを行い、その結果から内視鏡による観察や組織生検、異物の摘出が必要かどうかを判断します。
例えば、次のような場合に内視鏡検査が選択肢となることがあります。
・消化管内の異物が疑われ、異物の種類や大きさ、位置などから内視鏡による摘出が検討される場合
・嘔吐や下痢などの消化器症状が続き、ほかの検査結果などから消化管粘膜の詳しい評価が必要と判断された場合
・蛋白漏出性腸症などが疑われ、診断のために消化管粘膜の組織生検が必要な場合
どのような検査が適しているかは、症状やこれまでの経過、ほかの検査結果によって異なります。
そのため「症状が長引いているからといって、すぐに内視鏡検査を行う」のではなく、それぞれの状態に応じて必要な検査を検討することが重要です。
開腹手術との違い|内視鏡のやさしさ
開腹手術では、腹部を切開して消化管を直接確認しながら処置を行います。
一方、内視鏡検査は開腹せずに消化管内を直接観察できることが特徴です。状態によっては、開腹手術と比べて体への負担を抑えられることがあります。
ただし、内視鏡で確認・処置できる範囲には限りがあります。
小腸の深部など内視鏡が届かない場所や、異物の大きさ・形状などによっては対応できない場合もあるため、すべての消化器トラブルに対応できるわけではありません。
永原動物病院の内視鏡検査について
当院では内視鏡検査に必要な機器を備え、症状やほかの検査結果を踏まえながら、必要に応じて内視鏡による検査や処置を行っています。
<内視鏡検査に必要な機材・設備を完備>
細くて柔らかい内視鏡や、組織を採取する専用の器具などをそろえています。
<幅広いケースに対応>
おもちゃや布の誤飲、胃の炎症、粘膜のただれ、できものの発見や組織検査など、診断だけでなく処置まで一貫して行える場合もあります。
<画像を一緒に見ながら説明>
検査中に撮影した映像や画像をお見せしながら、どこにどのような異常があるのかを、飼い主様にお伝えします。
<検査内容は相談しながら>
症状やこれまでの経過、ほかの検査結果などを踏まえたうえで、検査の目的や内容について飼い主様にご説明し、相談しながら進めていきます。
内視鏡検査を受けた飼い主様の声
内視鏡検査と聞くと、「どのような検査なのだろう」「開腹手術が必要なのでは」と不安に感じる飼い主様もいらっしゃるかもしれません。
実際に内視鏡検査を受けられた飼い主様からは、次のようなお声をいただいています。
「こんな検査があること自体、知らなかった」
「検査について詳しく説明してもらえて、理解が深まった」
「開腹手術以外の方法を検討できて、ほっとした」
「画像を見ながら説明してもらえて、状態を理解しやすかった」
内視鏡検査についてあらかじめ知っておくことで、消化器の不調が続いた際に、獣医師と相談しながら検査方法を検討する際の参考にもなります。
まとめ
内視鏡検査は、開腹せずに消化管内を観察したり、必要に応じて組織を採取したりできる検査方法のひとつです。
ただし、すべての消化器症状に内視鏡検査が適しているわけではありません。症状や経過、血液検査や画像検査などの結果を踏まえ、必要性を検討することが大切です。
「嘔吐や下痢などの消化器症状が続いている」「検査を受けても原因がはっきりしない」とお悩みの飼い主様は、どうぞ一度ご相談ください。
当院では、愛犬・愛猫の体調や飼い主様の気持ちに寄り添いながら、できるだけ無理のない方法で、健康を支えていきたいと考えています。
岡山県岡山市を中心に地域のホームドクターとして診療を行う
永原動物病院
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この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。