犬と猫のアトピー性皮膚炎|その痒み、様子見で大丈夫ですか?

2026.04.20犬・猫

最近、愛犬や愛猫が「よく体を掻いている」と感じたことはありませんか?あるいは、「もともと皮膚が弱い体質だから」と考え、少し赤みがある程度なら様子を見ている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに、一時的な皮膚トラブルであれば自然に落ち着くケースもあります。しかし、痒みが何週間も続いたり、掻いたり舐めたりする様子が日常的になっていたりする場合には、治療が必要な皮膚疾患が隠れている可能性があります。その代表的な病気が「アトピー性皮膚炎」です。

そこで今回は、犬と猫のアトピー性皮膚炎とはどのような病気なのか、ただの皮膚荒れとの違いや、どのように向き合っていけばよいのか、などを解説します。

■目次
1.犬と猫のアトピー性皮膚炎とは?
2.どんな症状が出るの?|「ただの皮膚荒れ」との違い
3.原因
4.診断方法
5.治療と向き合い方|「抑える」から「整える」へ
6.まとめ

犬と猫のアトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎とは、アレルギー体質が関係して起こる慢性的な皮膚の炎症性疾です。体の外に存在するさまざまな物質に過敏に反応しやすい体質が背景にあり、皮膚のバリア機能が低下している状態が特徴です。そのため、健康な皮膚であれば問題にならない程度の刺激でも、炎症や強い痒みが生じやすくなります。

原因となる刺激には、ダニや花粉、ハウスダストなどの環境中の物質などが挙げられます。これらは日常生活の中で完全に避けることが難しく、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しやすい点が、この病気の大きな特徴です。なお、アトピー性皮膚炎は犬に多いイメージがあるかもしれませんが、猫にもみられる皮膚疾患です。猫では過剰なグルーミングや脱毛という形で表れる場合もあります。

また、アトピー性皮膚炎は、一度よくなったからといって治療が完全に終わる病気ではありません。大切なのは、症状を緩和しながら痒みが出にくい状態を維持し、生活の質を保つことです。

どんな症状が出るの?|「ただの皮膚荒れ」との違い

犬や猫のアトピー性皮膚炎では、顔まわりや耳、足先、脇の下、お腹などに強い痒みが出やすい傾向があります。痒みが強くなると、しきりに掻いたり、舐めたり、噛んだりする行動が増え、以下のような症状が見られるようになります。

・皮膚が赤くなる
・毛が抜ける
・皮膚がベタつく
・黒ずむ

一方で、シャンプーの変更や一時的な刺激による皮膚荒れであれば、原因を取り除くことで比較的短期間に落ち着くことが多いです。しかし、アトピー性皮膚炎では痒みが慢性的に続いたり、良くなったと思っても再び悪化したりする経過をたどります。この「繰り返す痒み」が大きな違いです。

痒みが強い状態が続くと、夜間も落ち着かずに体を掻き続けたり、常に不快感からいら立った様子を見せたりすることがあります。こうした変化は、犬や猫の生活の質にも直結します。だからこそ、「少し掻いているだけ」と軽く考えず、動物病院で痒みの原因を突き止めることが大切です。

原因

アトピー性皮膚炎の発症には、ひとつの原因だけでなく、さまざまな要因が関わっています。代表的なものとして、ダニや花粉、ハウスダスト、カビなど、身の回りにある環境中のアレルゲンが挙げられます。また、犬や猫によっては、食べ物が影響しているケースもあります。

さらに、体質や遺伝的な要因も挙げられます。同じ環境で生活していても、症状が出る犬や猫と、ほとんど影響を受けない犬や猫がいるのは、この体質的な違いが関係しています。そのため、「これだけを避ければ治る」と単純に言い切れる病気ではありません。多くの場合、いくつかの要因が重なり合い、体の許容範囲を超えたときに、痒みや皮膚の症状として現れます。

このように背景が複雑なため、飼い主様の判断だけでフードを変更したり、市販薬を使ったりしても、思うような改善が得られないことがあります。症状を安定させていくためには、原因を一つずつ整理しながら、全体を見て治療方針を考えていくことが大切です。

診断方法

犬や猫のアトピー性皮膚炎を診断するうえで、飼い主様からの詳細な問診はとても大切です。たとえば「いつ頃から痒みが始まったのか」「どの部位をよく掻いているのか」「季節によって症状が強くなったり落ち着いたりするのか」といった情報は、診断の大きな手がかりになります。そのため、来院前に日々の様子を少し丁寧に振り返っていただくだけでも、状態をより正確に評価しやすくなります。

問診後は、以下のような他の皮膚疾患を一つずつ除外していきます。

・ノミやダニの寄生
・真菌感染症
・細菌感染症
・食物アレルギー など

アトピー性皮膚炎は、これらの病気を否定したうえで総合的に判断される疾患です。必要に応じて皮膚検査や血液検査などを行い、複数の情報を組み合わせて診断します。

このように診断には段階があるため、見た目だけでアトピー性皮膚炎と特定することができません。痒みが長引いている場合には、できるだけ早い段階で動物病院に相談してください。なお、現在治療中であっても不安や疑問がある場合には、セカンドピニオンとしてのご相談も一つの選択肢です。

治療と向き合い方|「抑える」から「整える」へ

アトピー性皮膚炎の治療では、症状や体質に合わせて内服薬や外用薬を使用したり、スキンケアを取り入れたり、食事療法を検討したりします。痒みが強い時期には炎症をしっかり抑える治療を行い、その後は再発を防ぐための管理へと移行していきます。

重要なのは、一時的に症状を抑えるだけでなく、痒みが出にくい皮膚環境を整えることです。そのためには、定期的な通院で状態を確認したり、ご自宅でのスキンケアを継続したりする姿勢が欠かせません。治療は数日で終わるものではなく、長期的な視点で取り組む必要があります。

そして、治療方針は獣医師が一方的に決めるものではありません。飼い主様の生活スタイルやご希望をうかがいながら、無理なく続けられる方法を一緒に考えていきます。相談しながら調整を重ねることで、愛犬や愛猫にとって最適な管理方法が見えてきます。

まとめ

犬や猫のアトピー性皮膚炎は、完治を目指すことは難しい場合が多いですが、正しい知識を持ち、適切な治療と管理を続けることで、痒みを和らげながら穏やかな毎日を送ることは十分に可能です。

「このくらいで受診してもいいのだろうか」と迷う段階こそ、実は大切なタイミングです。小さな違和感を見逃さず、早めに対応することで、その後の経過が大きく変わることもあります。

なお、当院では犬や猫のアトピー性皮膚炎をはじめとする慢性的な皮膚疾患に対して、飼い主様との対話を大切にしながら丁寧に診療を行っています。治療などで分からないことやご不明点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人
永原 未悠(ながはら みゆ)
  • 永原動物病院 院長
  • 永原 未悠(ながはら みゆ)

飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。

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