コラム
COLUMN
犬や猫の便秘|様子見してよいケースと病院に行くべきサイン
2026.06.23犬・猫
「2〜3日うんちが出ていないのですが、大丈夫でしょうか?」このようなご相談は、動物病院でも日常的によくいただきます。
特に犬や猫は毎日排便するイメージがあるため、便が出ないと不安になってしまう飼い主様も多いのではないでしょうか。
一方で、「便が何日出ていないか」だけでは、単なる一時的な便秘なのか、病気が隠れている状態なのかを判断できません。そのため、食欲や元気はあるかなど、全体の状態をあわせて確認することが大切です。
そこで今回は犬と猫の便秘について、様子見でよいケースと早めに受診を検討したいサイン、犬と猫それぞれの特徴などを解説します。

■目次
1.犬や猫の便秘とは?
2.ご自宅でできる判断基準|様子見でよいケースと注意すべきケース
3.受診を検討したい症状|見逃したくないサイン
4.犬の便秘|考えられる原因と背景疾患
5.猫の便秘|多い理由と巨大結腸症への注意
6.動物病院での検査・対応と当院の考え方
7.まとめ
犬や猫の便秘とは?
便秘というと、「何日も便が出ていない状態」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際には、単純に出ていない状態だけを指すわけではありません。
例えば、以下のような変化も便秘の一種として考えられます。
・便が硬くて出しづらそう
・何度もトイレに行くのに少量しか出ない
・きばっているのに出てこない
・以前より便の量が減っている
また、排便回数には個体差があり、毎日2回ほど排便する子もいれば、1日1回程度の子もいます。そのため、「昨日出ていないから異常」と決めつけるのではなく、“いつもと比べてどうか”を見ることが重要です。
ご自宅でできる判断基準|様子見でよいケースと注意すべきケース
便秘かどうかを判断するとき、動物病院でも特に重視しているのが、「きばっているか(排便しようとして力んでいるか)」「食欲があるか」「排尿・嘔吐の有無」です。
<様子見の目安>
2〜3日便が出ていなくても、以下のような場合は、様子を見る選択肢もあります。
・きばっていない
・食欲がある
・元気がある
例えば、食事量が少なかった日や、一時的な環境変化のあとには、排便間隔が空くケースも見られます。
ただし、「元気そうだから絶対に安心」という意味ではありません。便秘が徐々に悪化する場合もあるため、排便の有無だけでなく、行動や食欲の変化もあわせて確認することが大切です。
<注意したいサイン>
一方で、以下のような様子がある場合は注意が必要です。
・きばっているのに出ない
・何度もトイレに行く
・食欲が落ちている
・元気がない
・食べているのに1週間近く便が出ない
特に、排便姿勢を何度もとっているにもかかわらず便が出ない場合は、体の中で何らかの異常が起きている可能性があります。
また、ご飯を食べていない場合は、食事量が減った影響で便が出ていないケースも考えられます。しかし、食欲低下自体が体調不良のサインとして表れていることもあるため、注意が必要です。
「いつもと違う様子が続いている」と感じた際は、無理に様子を見続けず、早めに動物病院へ相談しましょう。
受診を検討したい症状|見逃したくないサイン
「もう少し様子を見てもよいのか、それとも病院へ行くべきなのか」と迷う場面もあると思います。
そのようなときは、以下のような症状が表れていないか確認してみてください。
・強くいきむ
・排便時に痛がる
・鳴きながらきばる
・嘔吐している
・お腹が張っている
・元気がない
・血便が出る
・石のように硬い便しか出ない
このような症状が見られる場合は、単なる一時的な便秘ではなく、体の中でなにかしらの異常が起きている可能性があります。
特に、嘔吐や食欲低下を伴う場合は、消化管全体のトラブルが関係しているケースも考えられます。そのため、無理に様子を見続けず、早めに動物病院へ相談することが大切です。
犬の便秘|考えられる原因と背景疾患
犬の便秘では、水分不足や運動不足、食事内容の変化など、日常生活が原因になるケースがあります。
例えば、フードを急に変更したあとに便の硬さが変化したり、水を飲む量が減って便秘気味になったりする場合があります。
一方で、便秘の背景に病気が隠れていることも少なくありません。
特に高齢のオス犬で注意したいのが、前立腺肥大です。前立腺が大きくなることで直腸を圧迫し、便が通りにくくなるケースがあります。また、肛門周囲の筋肉が弱くなる会陰ヘルニアでも、正常に排便しづらくなることがあります。
さらに、以下のようなトラブルが関係し、「いきみたくても力が入りにくい状態」になっているケースもあります。
・直腸腫瘍など消化管周囲の腫瘍
・椎間板ヘルニア
・高齢による後肢筋力の低下
このように、犬の便秘は単なる便通の問題だけではなく、別の病気のサインとして表れている場合もあるため注意が必要です。
猫の便秘|多い理由と巨大結腸症への注意
猫は犬と比べて、便秘が多い傾向があります。
その理由のひとつとして、水分摂取量の少なさが挙げられます。もともと猫は、あまり多く水を飲まない動物であり、便が硬くなりやすい特徴があります。ほかにも、トイレ環境の変化やストレスによって排便を我慢してしまう子もいます。
また、猫の便秘で特に注意したいのが、「巨大結腸症」です。これは、大腸が大きく広がり、便を押し出す力が低下してしまう病気です。慢性的な便秘が続くことで発症し、進行すると自力での排便が難しくなるケースもあります。
初期の段階では、「少し便秘気味かな?」程度に見えることも少なくありません。
しかし、便秘を繰り返しているうちに悪化する場合もあるため、慢性的に続く場合は早めの対応が大切です。
動物病院での検査・対応と当院の考え方
動物病院では、必要に応じてレントゲン検査を行い、便の量や溜まり具合を確認していきます。また、便秘の原因によって対応も異なります。
例えば、以下のようにその子に合わせた方法を検討します。
・食事内容の見直し
・生活環境の改善
・水分摂取の工夫
・食事療法
・排便をサポートする治療
なお、岡山市の永原動物病院では、飼い主様へのインフォームドコンセントを大切にしています。「どの程度なら様子を見てもよいのか」「検査は必要なのか」など、不安や疑問を一つずつ整理しながら、飼い主様と一緒に治療方針を考えていきます。
「まだ病院へ行くほどではないかもしれないけれど、少し気になる」そのような段階でも、遠慮なくご相談ください。
まとめ
犬や猫の便秘は、「何日出ていないか」だけで判断しないことが大切です。実際には、排便しようとして何度も力んでいないか、食欲や元気は普段通りか、といった全体の様子をあわせて確認する必要があります。
例えば、2〜3日便が出ていなくても、無理にいきむ様子がなく、食欲や元気も普段通りであれば、まずは慎重に様子を見るケースもあります。一方で、排便姿勢を何度もとっているのに出ない場合や、食欲低下、嘔吐などを伴う場合には、便秘だけでなく別の病気が関係している可能性も考えられます。
また、犬では前立腺肥大や会陰ヘルニア、直腸腫瘍などが原因となることがあり、猫では巨大結腸症へ進行するケースも見られます。そのため、「いつもと違う」と感じた際は、無理に様子を見続けず、早めに動物病院へ相談することが安心につながります。
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この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。