犬や猫がご飯を食べない…獣医師が教える「食欲不振」の原因と対処法

2025.06.19犬・猫

「いつもは元気に食べるのに、急にご飯を食べなくなった…」「好きなフードさえ口にしない…」そんな愛犬や愛猫の様子に、不安を感じたことはありませんか?

犬や猫の食欲は健康状態を知るための大切なバロメーターです。食欲がない状態が続くと、脱水や栄養不足を引き起こし、体力の低下や病気の悪化につながる可能性があります。特に小さな体の犬や猫にとって、数日間の食欲不振でも大きな影響を及ぼすことがあります。

今回は、犬や猫が食欲をなくす主な原因やご家庭でできる対処法、そして動物病院を受診すべきタイミングについてご紹介します。

■目次
1.食欲不振とは?〜正常な食事量を知ることの重要性〜
2.食欲不振を引き起こす主な原因
3.注意すべき!食欲不振と一緒に見られる危険なサイン
4.ご家庭でできる食欲不振への対処法
5.動物病院を受診すべきタイミング
6.食欲不振を予防するための日常ケア
7.まとめ〜愛犬・愛猫の健康を守るために〜

食欲不振とは?〜正常な食事量を知ることの重要性〜

「食欲不振」と聞くと、「まったくご飯を食べない状態」をイメージされるかもしれません。しかし実際には、食べる量がいつもより減ったり、食べるスピードが遅くなったり、特定のフードを避けるようになった場合も、食欲不振に含まれます

犬や猫の適切な食事量は、犬種や猫種、年齢、体格、そして生活環境によって異なります。そのため、飼い主様が愛犬や愛猫の「普通」の食事パターンを日頃からしっかりと把握しておくことが大切です。

また、季節によっても食欲には変化が見られることがあります。たとえば岡山市では、夏場の高温多湿な時期になると、一時的に食欲が落ちる犬や猫が増える傾向にあります。ただし、こうした一時的な変化と病的な食欲低下の見極めは難しいため、気になる変化があれば早めに動物病院に相談することをおすすめします。

 

食欲不振を引き起こす主な原因

犬や猫が食事を拒否する原因はさまざまですが、大きく分けて3つのカテゴリーに分類できます。

<環境の変化やストレス>

引っ越しや模様替え、家族構成の変化(赤ちゃんや新しい犬や猫の追加)、来客や工事音などの騒音は、犬や猫にとって大きなストレスとなり、一時的に食欲を失うことがあります。犬や猫はとても繊細で、日常のちょっとした変化にも反応しやすいため、安心できる環境を整えてあげることが大切です。

<身体的要因>

歯周病や口内炎などの口内トラブルによって食事中に痛みを感じ、ご飯を避けるようになります。また、吐や下痢などの消化器症状や寄生虫感染も、栄養吸収を妨げられ食欲が低下する原因に繋がります。これらは口臭が強くなった、よだれが増えた、便の様子が変わるなど、飼い主様が自宅で気づけるサインもあるため、注意深く観察しましょう。

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<重大な病気が隠れている>

元気消失、急激な体重減少、呼吸の異常などの症状がある場合は、腎臓病や肝臓病、糖尿病、腫瘍などの重篤な疾患が隠れている可能性もあります。これらの症状が見られた場合は、早期に治療を始めることが重要であるため、迷わず動物病院を受診しましょう。

 

注意すべき!食欲不振と一緒に見られる危険なサイン

ただ食欲がないだけではなく、他にも気になる症状がある場合は要注意です。以下のような症状が見られるときは、体の中で深刻な異常が起きている可能性があります。

・嘔吐
・下痢
・水も飲まない
・元気消失
・体重減少
・呼吸が浅い・早い

特に子犬や子猫、高齢の犬や猫は体力や免疫力が弱いため、短時間で症状が悪化しやすいです。ほんの数時間で状態が急変することもあるため、「しばらく様子を見ようかな?」と迷っている間に事態が悪化してしまうケースも少なくありません。

そのため、このような危険なサインが見られた場合は、自己判断での対処や市販薬の使用、人間の食べ物を与えるなどの対応は避け、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

 

ご家庭でできる食欲不振への対処法

軽度の食欲不振であれば、ご家庭で以下の工夫を試してみましょう。

< フードを温める>

フードを人肌程度に温めることで香りが強くなり、興味を引くことがあります。温かい香りは嗅覚を刺激し、食欲のスイッチを入れるきっかけになることがあります。

<少量ずつ与える>

普段の量を一度に出すのではなく、少量ずつ分けて与えることで、負担感を減らすことができます。

<手で直接フードを与える>

飼い主様の手から直接食べることで安心感が生まれ、口にしてくれるケースもあります。

<フードの種類や器を変えてみる>

フード自体に飽きている可能性もあるため、新しい種類のおやつやフードに変えてみたり、お皿を変えたりするだけでも効果的です。

ただし、これらの方法を試しても改善が見られなかったり、他の症状が出てきたりした場合は、無理に食べさせようとせず、早めに動物病院に相談しましょう。無理な強制給餌や味付けされた人間の食べ物を与えることは、かえって体に負担をかける恐れがあります。

 

動物病院を受診すべきタイミング

犬や猫が食事を拒否する期間が長引く場合は、年齢に応じて適切なタイミングで受診を検討しましょう。

<子犬や子猫の場合>

1日以上食べない状態が続く場合はすぐに受診してください。

<成犬・成猫の場合>

2〜3日続けてご飯を食べないようであれば注意が必要です。

<高齢の犬や猫>

1〜2日程度の食欲不振でも、重大な疾患が隠れている可能性があるため、早めの診察をおすすめします。

当院では、食欲不振の原因を的確に把握するための検査設備を整えており、早期発見と適切な治療を提供しています。「病院に行くべきか迷っている…」という場合でも、まずはお気軽にご相談ください。

岡山市南区にお住まいの飼い主様が、安心してご来院いただけるよう、丁寧でわかりやすい説明と診察を心がけています。

 

食欲不振を予防するための日常ケア

食欲不振を未然に防ぐためには、日頃からの以下の健康管理を心がけることが重要です。

<定期的な健康診断>

定期的な健康診断を受けることで、体調の変化や病気の早期発見につながります。当院では、予防医療にも力を入れており、健康なときこそ診察を受けることで、病気の予兆を見逃さずに済みます。

<適切な食事管理と口腔ケア>

年齢や体格に合ったバランスの良いフードを選び、過剰な間食を避けるようにしましょう。さらに、歯磨きや口腔ケアも、痛みや炎症による食欲不振を防ぐために効果的です。

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<ストレス軽減>

ストレスの少ない環境づくりも欠かせません。静かで落ち着ける場所を用意したり、適度な運動やスキンシップを取り入れたりすることで、精神的な健康も保つことができます。また、毎日の食事の様子を記録しておくと、小さな異変にも早く気づくことができます。

 

まとめ〜愛犬・愛猫の健康を守るために〜

犬や猫が「ご飯を残す」「全くご飯を食べない」といった症状は体調のサインであることが多く、早期発見・早期対応が大切です。岡山市南区にある当院では、飼い主様の不安に寄り添いながら、丁寧な診察と説明を行っております。

「最近、ご飯の量が減った気がする」「いつもと様子が違う」と感じたら、お気軽にご相談ください。愛犬や愛猫が元気に毎日を過ごせるよう、私たちが全力でサポートいたします。

 

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この記事を書いた人
永原 未悠(ながはら みゆ)
  • 永原動物病院 院長
  • 永原 未悠(ながはら みゆ)

飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。

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