コラム
COLUMN
犬と猫のストレス|薬を飲んでも下痢が治らないときに知ってほしい体からのサイン
2026.07.07犬・猫
「きちんとお薬を飲ませているのに、下痢が改善しない」「何度も検査を受けているのに、原因が分からない」。このようなお悩みを抱えて来院される飼い主様は、決して少なくありません。下痢や嘔吐が続くと、治療が合っていないのではないか、あるいは別の病気が隠れているのではないかと心配になると思います。
実は、犬や猫の体調不良の背景には、病気や感染症だけでなく、環境の変化によるストレスが関係しているケースがあります。ストレスという言葉から心の問題を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、犬や猫では体の症状として現れることも多く、見過ごされやすい原因の一つです。
そこで今回は犬や猫のストレスについて、薬を飲んでも下痢が治らない理由や原因、症状、当院の診療姿勢などをご紹介します。

■目次
1.犬や猫の「ストレス」は心だけの問題ではない
2.薬を飲んでも下痢が治らない理由
3.こんな環境の変化がストレスになることも
4.永原動物病院が大切にしている診療姿勢
5.まとめ
犬や猫の「ストレス」は心だけの問題ではない
一般的に、ストレスは精神的な負担というイメージを持たれがちです。しかし、犬や猫にとってストレスは、心だけでなく体にも大きな影響を及ぼします。強い緊張や不安が続くと、自律神経のバランスが乱れやすくなり、その結果として消化管の動きや働きが不安定になります。
この影響は、以下のような症状で表れることがあります。
・下痢や軟便
・血便
・嘔吐
・食欲不振
特に胃腸はストレスの影響を受けやすい臓器です。そのため、いわゆるストレス性の下痢や、ストレスが引き金となる胃腸炎が起こることも珍しくありません。また、普段は問題なく食べているフードであっても、環境の変化が重なることで消化が追いつかなくなり、症状が表れる場合があります。
薬を飲んでも下痢が治らない理由
細菌感染や寄生虫、食事内容が原因の場合には、適切な薬を使用したり、食事を調整したりすることで改善が期待できます。一方で、ストレスが関係しているケースでは、薬によって一時的に症状が落ち着いたとしても、生活環境が変わらなければ再発を繰り返してしまうことがあります。
このような経過をたどると「今までの治療が間違っていたのではないか」と不安になる飼い主様もいらっしゃいます。しかし、これは治療が誤っていたという意味ではありません。炎症や症状自体は抑えられていても、原因の一部が生活環境に残っているため、完全な改善に至らないことがあるのです。
こんな環境の変化がストレスになることも
飼い主様が犬や猫のためを思って行ったことが、結果として負担になってしまう場合もあります。たとえば、年末年始やお盆の時期には、親戚が集まったり、普段は会わない人が家に出入りしたりします。このような状況では、においや音、人の動きが増えることで、知らず知らずのうちに緊張が続いてしまいます。
また、春先の引っ越しや部屋の模様替えにも注意が必要です。家具の配置が変わると、犬や猫にとって安心できる場所が分からなくなり、不安を感じやすくなります。これらは特別な出来事ではなく、どのご家庭でも起こり得る変化です。だからこそ、「最近、生活の中で何か変わったことはなかったか」と振り返ることが、体調不良の原因を考える大切な手がかりになります。
永原動物病院が大切にしている診療姿勢
岡山県岡山市にある永原動物病院では、下痢や嘔吐といった症状そのものだけでなく、犬や猫の生活背景や日常の変化まで丁寧にお話を伺うことを大切にしています。症状がいつから出ているのかを確認するだけでなく、最近の生活リズムや食事内容、環境の変化についても詳しくお聞きします。
そのうえで、現時点で考えられる原因や今後の治療方針について、飼い主様と一緒に整理しながら進めていきます。インフォームドコンセントを重視し、納得して治療を選択していただくことが、信頼関係につながると考えています。他院で治療を受けている場合でも、これまでの経過を尊重しつつ、別の視点から見直すセカンドオピニオンとしてのご相談にも対応しています。
対症療法にとどまらず、環境調整や食事管理を含めた根本的な改善を目指し、犬や猫がより快適に過ごせる方法を飼い主様とともに考えていきます。
まとめ
下痢や嘔吐の背景には、病気だけでなくストレスが関係している場合があります。引っ越しや来訪者の増加など、環境の変化は避けられないものだからこそ、早めに気づき、体からのサインとして受け止めることが大切です。原因を一つずつ整理し、無理のない方法を選ぶことで、犬や猫が落ち着いて過ごせる可能性は広がります。
「今の治療で本当に大丈夫なのか不安に感じている」「少し気になる症状があるけれど、相談してよいか迷っている」。そのような段階でも、当院では飼い主様のお話を丁寧に伺い、安心につながる診療を心がけています。犬や猫、そして飼い主様が穏やかな毎日を送れるよう、当院では生活背景まで含めた診察を通じて、根本的な改善を目指しています。
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この記事を書いた人
- 永原動物病院 院長
- 永原 未悠(ながはら みゆ)
飼い主様へのインフォームドコンセントや、信頼関係を大切にしています。大事な予防も含め、疾患(病気)への治療や方針について話し合い、飼い主様と一緒に進めてまいりたいと思います。